この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。

国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。

ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。

本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。

🔍 こんな悩み、ありませんか?

  • 昼食後になると急に眠くなる
  • 午後の会議中に集中できない
  • 仕事中にウトウトしてミスが増える

これ、あなただけではありません。

そして「自分がだらしないから」でもありません。

✅ 結論:昼に眠くなるのは“自然な仕組み”

人間の身体には、昼に眠気がくるよう設計された体内時計(サーカディアンリズム)があります。

これに加えて、血糖値の乱高下、ホルモン、自律神経、脳内物質など、複数の要因が重なり、午後に「集中できない」「眠い」が起こります。

⏰ 昼に眠くなる6つの理由(すべて科学的根拠あり)

① 体内時計による“眠気の谷”

人間の生体リズムには「13〜15時頃に覚醒が下がる時間帯」がある。

これはサーカディアンリズムによる自然な現象。

NASAではこの時間帯に仮眠を推奨する研究もあります(NASA TM-2001-209611)

② 血糖値スパイクとその反動

  • 昼食後に血糖値が急上昇→インスリンで急降下
  • 脳に送られるブドウ糖が一時的に不足し、眠気が発生
  • 特に白米・パン・麺類など高GI食品は影響大

③ 自律神経が“副交感神経モード”に

午前の活動で交感神経が高まった後、午後は副交感神経が優位に。

これは体が「回復モード」に入るサイン。

呼吸がゆっくりになり、リラックス → 眠気

④ 深部体温が低下し始める

人は眠くなるとき、内臓温度(深部体温)が下がる。

午後は自然と体温が低下していく時間帯。

体が眠りの準備に入りやすい状態に。

⑤ アデノシンの蓄積による脳疲労

アデノシンは脳内で覚醒を妨げる物質。

起きている時間が長いほど増え、眠気が強くなる。

睡眠負債が蓄積していると、昼過ぎのアデノシン濃度はより高くなります

参考文献:Landolt H-P. (2008). Sleep homeostasis: a role for adenosine in humans? Biochemical Pharmacology.

⑥ 人類の進化と昼寝文化の影響

昔から赤道直下の地域では「シエスタ(昼寝文化)」が存在。

暑さを避け、午後に活動を抑える行動が進化的に定着した可能性。

人間の脳は「1日2回、眠くなる設計」になっているという研究もあります

参考文献:Monk, T. H., Buysse, D. J., & Reynolds, C. F. (1996). Circadian rhythms in human performance and mood under constant conditions.

17,900点を超える昼寝のイラスト素材、ロイヤリティフリーのベクター素材グラフィックスとクリップアート - iStock | 読書, リラックス,  昼ね

💡 昼の眠気を乗り切る実践テクニック(OT直伝)

✅ ① パワーナップ(15~20分の仮眠)

昼休みに15分の目を閉じるだけでもOK。

深い眠りに入らないよう20分以内がベスト

起きたら光を浴びてリセット!

✅ ② 血糖値が乱れないランチにする

避けたい食事:ラーメン+白ごはん、菓子パン、どんぶり

おすすめ:サラダ+鶏肉や魚、玄米、小鉢の定食スタイル

✅ ③ 光を浴びる・動く

窓際で3分日光を浴びるだけでも脳が覚醒。

立ち上がって歩く、肩回し、深呼吸が効果的。

動きで交感神経が再活性化される。

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🧠 まとめ:昼の眠気は「戦う」より「整える」

人は「昼に眠くなるように設計されている」

だから無理に戦うのではなく、仕組みを理解し、戦略的に整えることが鍵です

眠気を味方にできる人が、午後も高パフォーマンスを維持できる

まずは、ランチの内容と仮眠から見直してみましょう

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❓ よくある質問

Q. 昼の眠気が毎日つらいけど病気?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)や特発性過眠症などが隠れている可能性があります。

日中の眠気が強く、仕事や生活に支障をきたす場合は、睡眠外来でのポリソムノグラフィー検査が推奨されます。

参考:日本睡眠学会「日中の過度の眠気に対する診療ガイドライン」

Q. 昼寝すると夜眠れなくなる?

15分以内の浅い昼寝(ノンレム睡眠)であれば、夜の眠りにほとんど影響しません。

逆に昼寝で脳の疲労が取れることで、夜の睡眠の質が上がることが研究でも示されています。

参考:Hayashi M. et al., (1999). The alerting effects of short nap and bright light: implications for shift work.

Q. カフェインでごまかしても大丈夫?

コーヒー1杯程度のカフェインは短期的には眠気覚ましに有効です。

ただし16時以降の摂取はメラトニン分泌を遅らせ、夜間の睡眠の質を低下させる可能性があります。

参考:Clark, I. & Landolt, H.-P. (2017). Coffee, caffeine, and sleep: A systematic review of epidemiological studies and randomized controlled trials.

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