
この記事を書いたのは
睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。
医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。
国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。
ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。
本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。
朝になると
「会社に行きたくない」
「気分が重い」
「布団から出たくない」
そう感じることはありませんか?
実はそれ、怠けではなく、体や脳が出している“悲鳴”かもしれません。
本記事では、朝のネガティブ感情の原因を“睡眠・脳・ホルモン・生活習慣”から解き明かし、今日からできる対策もご紹介します。
目次
朝ネガティブになりやすい人の特徴
・平日と休日の起床時間がバラバラ
・寝る直前までスマホを見ている
・腸の不調(便秘・ガス・下痢など)がある
・完璧主義やHSP傾向がある
・朝日を浴びない生活をしている
・日中の活動量が少ない
・カフェインや甘いものを摂りすぎている
・夜になると元気になる“夜型タイプ”

朝からネガティブになる主な原因5
① セロトニン不足による感情コントロールの低下
セロトニンは“幸せホルモン”とも呼ばれ、ポジティブな気分や精神の安定に欠かせない神経伝達物質です。
十分な睡眠、日光、運動で分泌が促進されますが、これが不足すると朝から気分が沈みやすくなります。
特に光を浴びない冬場や在宅勤務が多い人に多くみられます。
② コルチゾール覚醒反応の乱れ
コルチゾールは起床前に急激に分泌が高まる「覚醒ホルモン」。
これにより、体温・血圧が上がり、スッキリ目が覚める仕組みです。
生活リズムの乱れや睡眠不足によりこの反応が鈍ると、朝から疲労感や倦怠感、気分の落ち込みが強くなります。

③ 前頭前野の働きの低下
朝は脳の“判断・感情抑制”を担う前頭前野の働きが低いため、マイナス思考が強く出やすい時間帯です。
特にネガティブな思考グセを持つ人は朝にその傾向が顕著になります。
④ 腸内環境の乱れでメンタルへの影響
セロトニンの約90%は腸で生成されます。
腸内環境が悪化するとセロトニン生成が低下し、メンタル不調や不安感、朝の倦怠感を招きやすくなります。
⑤ 予期不安による自律神経の緊張
「仕事で怒られたらどうしよう」「あの人にまた会いたくない」など、未来への不安があると、自律神経が夜から緊張しっぱなしになります。
その結果、朝に強い不安感や吐き気、動悸などを感じるケースもあります。

今すぐ始められる改善策5選
① 朝起きたらすぐカーテンを開けて“朝日”を浴びる
② ストレッチやラジオ体操など軽い運動を取り入れる
③ 朝の楽しみ(お気に入りのコーヒーや音楽)を用意する
④ 休日も起床時間を1時間以内におさめる
⑤ 寝る前のスマホは30分前に終了、暖色ライトに切り替える

まとめ:朝の気分がつらいのは“体と脳”のSOS
朝になると仕事に行きたくないと感じるのは、精神論では解決できない「身体の仕組み」が関係しています。
夜の過ごし方、睡眠、光、運動、そして思考のクセを整えることで、朝は変えられます。
無理に「元気になろう」としなくても大丈夫。
まずは環境や習慣をコントロールしてみましょう!
“頑張らずに整える”ことが、朝のつらさを和らげる最短ルートです。
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よくある質問
Q:朝だけ気分が落ち込むのはうつ病のサインですか?
A:朝の気分の落ち込み(モーニングディプレッション)は、うつ病の初期症状の一つとされます(American Psychiatric Association, DSM-5)。
ただし全員が病的というわけではなく、睡眠の質や体内時計の乱れが主因となっているケースも多く、まずは生活習慣の見直しが勧められます。特に朝の光不足・運動不足がある方はセロトニンの生成が低下し、気分障害に陥りやすいことが知られています(Young SN. J Psychiatry Neurosci. 2007)。
Q:出勤前になると吐き気がします。心の問題ですか?
A:自律神経失調症や過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります(Fukudo S. Gut. 2007)。
ストレスによる交感神経の過活動で胃腸の働きが鈍くなることで起こります。出勤のストレスが原因である場合、前夜からの緊張が蓄積し、朝に身体症状として現れることがあります。睡眠を整え、朝のルーティンに“安心”を取り入れることが重要です。
Q:夜は元気なのに朝がつらいのはなぜ?
A:“社会的時差(ソーシャル・ジェットラグ)”が原因のことがあります(Wittmann et al. Curr Biol. 2006)。
体内時計が夜型にズレているのに、無理に早く起きて仕事に行くことで、心身に大きなストレスがかかっています。朝の光・朝の活動・夜のデジタルデトックスなどで体内時計の修正が必要です。
Q:気分の落ち込みを薬なしで改善できますか?
A:軽度〜中等度のうつ状態は、生活習慣の見直しだけで改善する例も多く報告されています(Cuijpers P. Psychol Med. 2014)。
特に運動・食事・睡眠の3要素を整えることが推奨されており、朝の日光浴と睡眠リズムの安定が最も効果的とされています。ただし改善が見られない場合は専門機関に相談を。
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