この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。

国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。

ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。

本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。

昼寝を導入している学校の効果について徹底解説

学校における昼寝(ナップ)の導入は、世界各国で研究が進められており、日本でも一部の学校が導入を始めています

私も小学校でのお話しする「こども睡眠授業」では、お昼寝の方法について必ずお話ししています。

夜の睡眠不足を昼寝で上手に補う睡眠テクの1つとして、ぜひ知っていただきたい!

本記事では、昼寝を導入している学校の効果を、国内外の事例や科学的根拠をもとに詳しく解説します。

昼寝を実際に導入している学校

日本の学校での導入事例

日本では、小学校や中学校で昼寝を導入している例は少ないものの、いくつかの学校が試験的に実施しています。

たとえば、以下のような取り組みが行われています。

  • 長崎県の小学校
    • 昼休み後に15分間の昼寝時間を設定。
    • 児童の集中力向上や学習意欲の増加が報告される。
  • 東京都の私立中学校
    • 午後の授業前に10分間の昼寝タイムを設け、眠気の低減と学習効果の向上を検証。
  • 岡山県の高校
    • 部活動のパフォーマンス向上を目的に、授業後に20分の昼寝を導入。
    • 体力の回復やストレス軽減が確認される。

海外の学校での導入事例

海外では、特に中国やスペインなどで昼寝文化が根付いており、学校での導入も進んでいます。

  • 中国の学校
    • 小学校・中学校では昼食後に30分程度の昼寝が一般的。
    • 睡眠不足による学業成績の低下を防ぐ目的がある。
  • スペインの学校
    • 昼食後のシエスタ文化を尊重し、一部の学校では昼寝の時間を確保。
    • 午後の活動に備えたリフレッシュ効果が期待される。
  • アメリカの学校
    • 学業成績向上のため、一部の高校で昼寝スペースを設置。
    • スタンフォード大学やハーバード大学では、昼寝の効果を積極的に研究
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昼寝がもたらす科学的な効果

昼寝が学習や健康に与える影響については、多くの研究が存在します。以下の観点から、科学的な効果を解説します。

① 学習効率の向上

  • 記憶の定着
    • 昼寝をとることで、午前中に学習した内容が脳内で整理され、記憶に定着しやすくなる(Diekelmann & Born, 2010)。
  • 集中力の向上
    • 10〜20分の短い昼寝(パワーナップ)により、午後の授業での注意力が持続しやすくなる(Milner & Cote, 2009)。

② 睡眠負債の軽減

  • 現代の子どもは慢性的な睡眠不足
    • 日本の中高生は平日の平均睡眠時間が6時間台と短く、学習や生活に悪影響を与えている。
    • 昼寝を取り入れることで、睡眠負債を軽減し、疲労回復を促進(Hirshkowitz et al., 2015)。

③ 精神的・身体的な健康改善

  • ストレス軽減
    • 昼寝をとることで、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が抑えられ、リラックス効果が得られる(Faraut et al., 2017)。
  • 免疫機能の向上
    • 睡眠時間の確保は免疫機能に関与し、昼寝をとることで風邪やインフルエンザの発症リスクが低下(Prather et al., 2015)。
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昼寝導入の具体的なメリットと課題

5つのメリット

  1. 午後の学習効果が向上(集中力・記憶力の向上)
  2. 睡眠不足の補填(睡眠負債を軽減)
  3. ストレスの軽減(心の安定)
  4. 体力回復(運動パフォーマンス向上)
  5. 事故・ミスの防止(眠気による判断ミスが減少)

3つの課題

  1. 昼寝時間の確保
    • 授業時間との兼ね合いが必要。
  2. 適切な昼寝環境の整備
    • 静かで快適な昼寝スペースの確保が課題。
  3. 個人差の対応
    • 昼寝が苦手な生徒や、寝すぎてしまう生徒への配慮が必要。

昼寝を導入する際の2ポイント

最適な昼寝時間

  • 10〜20分のパワーナップ
    • 眠気解消に最適で、学習効果も向上。
  • 30分以上の昼寝
    • 深い睡眠に入りやすく、起床後の眠気が増す可能性がある。
    • 睡眠慣性が残るので、私は学生には15分程度の昼寝を推奨しています。

昼寝環境の工夫

  • アイマスクやイヤープラグの使用
    • 短時間でも深い休息が可能に。
  • リクライニングチェアの活用
    • 横にならなくても快適な昼寝が可能。
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まとめ

昼寝を導入している学校では、学習効率の向上、睡眠不足の解消、ストレス軽減などの多くのメリットが報告されています。

特に10〜20分の短い昼寝(パワーナップ)は、午後の授業に良い影響を与えます

しかし、昼寝時間の確保や環境整備などの課題もあり、適切な導入が求められます。

昼寝の科学的根拠は豊富にあり、日本の学校でも今後の導入が期待されます。

睡眠負債を抱える子どもたちにとって、昼寝は「単なる休憩」ではなく「学習効率を最大化するツール」として活用できるのです。

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参考文献

  • Diekelmann, S., & Born, J. (2010). The memory function of sleep. Nature Reviews Neuroscience, 11(2), 114-126.
  • Milner, C. E., & Cote, K. A. (2009). Benefits of napping in healthy adults: Impact of nap length, time of day, age, and experience with napping. Journal of Sleep Research, 18(2), 272-281.
  • Hirshkowitz, M., et al. (2015). National Sleep Foundation’s sleep time duration recommendations. Sleep Health, 1(1), 40-43.
  • Faraut, B., et al. (2017). Napping: A public health issue. Journal of Clinical Sleep Medicine, 13(7), 837-840.
  • Prather, A. A., et al. (2015). Behaviorally assessed sleep and susceptibility to the common cold. Sleep, 38(9), 1353-1359.