【インポスター症候群とは】「自分だけが場違い?」と感じてしまう人のための克服ガイド

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この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。

国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。

ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。

本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。

「なぜ私がここにいるの?」と思ったことはありませんか?


新しいポジションに昇進したとき、クライアントに褒められたとき、周囲が自分を高く評価してくれるとき。

それなのに――なぜか「自分は実力不足」「本当は大したことない」と思ってしまう。


この感覚に悩まされるあなたは、もしかしたらインポスター症候群かもしれません。

インポスター症候群とは?

自分の成功を“まぐれ”だと思ってしまう心理

インポスター症候群(Impostor Syndrome)とは、「自分の成功は運や周囲のおかげであり、自分には実力がない」と感じてしまう心理状態を指します。

1978年に心理学者ポーリン・クランス博士らが提唱した概念で、優秀で真面目な人ほどこの感覚に陥りやすいことが知られています。


どんな人がなりやすいのか?

  • 真面目で完璧主義な人
  • 周囲から高く評価されている人
  • 昇進・異動・転職直後
  • 女性管理職・高学歴・専門職 など

特に近年は、SNSなどで他人と比較しやすい環境もあり、若手世代の多くがこの傾向を抱えています。

こんな状況でよく現れる

  • 褒められても「たまたまです」と否定してしまう
  • 新しい役職に就くと「自分なんかが…」と感じてしまう
  • 周りに“本物”が多く、自分だけが場違いに思える

あなたも当てはまる?インポスター症候群セルフチェック

以下の10項目のうち、あなたはいくつ当てはまりますか?

  • 成果をあげても「運が良かっただけ」と思う
  • 褒められると落ち着かない/否定したくなる
  • 自分の知識やスキルに自信が持てない
  • 「バレたらどうしよう」と感じることがある
  • 常に「もっと努力しなければ」と思っている
  • 周囲が自分を過大評価していると感じる
  • 役職や肩書きに見合っていない気がする
  • 失敗が許されないと思い込んでいる
  • 比較的うまくいっていても「運が尽きる」と不安
  • 他人と比較して、すぐに劣等感を持つ

5つ以上当てはまった方は、インポスター傾向が強い可能性があります。

インポスター症候群がもたらす3つの影響

① 自己肯定感が下がる

どれだけ結果を出しても、「自分はまだまだ」と感じ続けることで、自己肯定感が育ちません。

慢性的な不安や劣等感につながり、精神的ストレスが蓄積します。

② 燃え尽きや過労につながる

「自分は足りていない」と感じるあまり、必要以上に努力し続けてしまうことがあります。

その結果、過労やバーンアウトに陥る人も少なくありません。

③ 人間関係で孤立しやすい

「自分だけがダメなのでは」と思うことで、他人と本音でつながれなくなります。

また、必要以上に“よく見せよう”とすることで、疲弊する人間関係にもつながります。

なぜそんな気持ちになるの?脳と心理の視点から

「脳」は過去の失敗を優先して覚える

脳は“危険”や“不安”を優先的に記憶する性質があります(ネガティビティ・バイアス)。過去の小さな失敗を引きずりやすく、成功の実感が薄れやすくなるのです。

認知の歪み(バイアス)も影響

  • 全か無か思考:100点じゃなければ意味がない
  • 自己への過小評価:自分はまだまだ未熟
  • 他人への過大評価:あの人は完璧に見える

「役割の変化」がアイデンティティを揺らす

昇進・異動・起業・副業など、環境が大きく変わると、自分の存在意義が見えづらくなります。そのときに、「本当の自分」と「他人の期待」とのギャップで苦しくなるのです。

有名人も経験している!インポスター症候群

エマ・ワトソン(俳優)

「私はただラッキーだっただけで、本当にこの役にふさわしいのか分からない」と語っています。

シャリル・サンドバーグ(元Facebook COO)

著書『LEAN IN』の中で、「この場にいていいのか」と何度も思ったことを明かしています。

ミシェル・オバマ(元米国ファーストレディ)

「自分が本当に価値ある存在なのか、ずっと疑っていた」と講演で述べています。

インポスター症候群との付き合い方・克服法

  • 思考を“見える化”してみる:不安を言語化すると、自分の「思い込み」に気づけるようになります。
  • 自分に優しくする(セルフ・コンパッション):今の自分は不完全でも大切な存在だと認める。
  • 成功体験を「記録」していく:褒められた言葉や成果を日記に。自分への信頼を再構築。

専門家に相談すべきタイミングとは?

  • 睡眠障害・不安感・食欲の低下が2週間以上続く
  • 誰とも話したくなくなる
  • 常に「消えてしまいたい」と感じる

このようなときは、自力で抱えずに心理士やメンタル専門医への相談が大切です。

まとめ|インポスター症候群は「真面目さの証拠」

インポスター症候群は、ダメな人がなるのではありません。「真面目に努力してきた人」ほど、自分を厳しく評価してしまうだけなのです。

あなたの「場違いかも?」という感覚こそ、これまでの頑張りの証であり、変化を迎える兆しです。

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よくある質問(FAQ)

  • Q:インポスター症候群とHSPは違いますか?
    → HSPは刺激に敏感な体質、インポスターは思考のクセです。
  • Q:「もっと努力しなきゃ」と思うのは悪いこと?
    → 無理を重ねることで逆に成果が落ちることもあります。
  • Q:克服にどのくらい時間がかかる?
    → 気づくことが第一歩。焦らなくて大丈夫です。

参考書籍・関連記事リンク

  • 『GIVE&TAKE』(アダム・グラント)
  • 『反応しない練習』(草薙龍瞬)
  • 『セルフ・コンパッション』(クリスティン・ネフ)
  • 関連記事:「自己肯定感が低いときに読む話」「承認欲求との向き合い方」
  • 令和4年度 産業経済研究委託事業 (ダイバーシティ経営推進に向けた アンコンシャス・バイアス研修のあり方と 効果測定指標等に関する調査)
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