
\この記事を書いた人/
作業療法士・睡眠専門家としての医療的専門性に加え、企業の経営企画や人材育成支援に実務レベルで関わる「人的資本経営の伴走者」、石垣貴康が執筆しています。
これまでに、企業への健康投資導入や社内講座提供、ブランディング支援、助成金を活用した人材開発講座の企画・監修などを多数担当。
さらに、睡眠と健康をテーマにした書籍を出版し、専門家としてメディア出演の実績もあります。
自身も複数の事業を運営しながら、「科学的根拠 × 現場実践」の視点で、“働く人と組織=環境が健康的に成果を出す仕組みづくり”を支援しています。
目次
はじめに:言葉に傷つきやすいあなたへ
「気にしすぎ」
「受け流せばいいのに」
そう言われても、どうしても引きずってしまう。そんなあなたにこそ必要なのが「スルースキル=まともに受けない力」です。
これは「我慢」でも「鈍感」でもなく、“感情を守りながら他者と関わる力”のこと。
特にHSP(繊細さん)や内向的な性格の方にとって、生きやすさを支える一生モノのスキルです。
『反応しない練習』(草薙龍瞬 著)ではこう語られています。
「“反応しない”とは、無視することでも感情を押し殺すことでもなく、自分の内側の揺れに気づきながら、今ここでできる行動に集中する力です」
まさにスルースキルとは、“揺れをコントロールする技術”とも言えるのです。

スルースキルとは何か?
意味と定義|なぜ今注目されている?
スルースキルとは、「他人の言動や環境に過剰に反応せず、自分の心の安定を守る力」。
SNSの普及や多様な価値観の交錯する現代では、情報や感情の“過多”が日常です。
誰かの不用意な一言や、職場での小さな違和感にいちいち反応していたら、心がもちません。
HSPや内向型の人ほど必要な理由
HSP傾向のある人や、共感力が高い人ほど、他者の感情や空気に敏感に反応しすぎて疲弊してしまいます。
『繊細さんの本』(武田友紀 著)では「相手のちょっとした表情や声色から『嫌われてるかも』と勝手に感じてしまう」ことが紹介されており、まさにその通りと感じる人も多いはずです。
「受け流す」と「逃げる」は違う
スルースキルとは、決して逃げることではありません。
「距離を取る」「笑顔でスルーする」「言い返さない」というのは、相手との関係を壊さずに、自分を守る高度なコミュニケーション戦略なのです。
『嫌われる勇気』(岸見一郎 著)でも「課題の分離」という概念が出てきます。つまり、「他人がどう思うか」は相手の課題であり、自分が引き受ける必要はないのです。

スルースキルがない人の特徴と困りごと
「全部まともに受けてしまう人」の共通点
- 真面目すぎる
- 相手を怒らせたくない
- 自分を責めがち
- 承認欲求が強め
- 空気を読みすぎる
こうした傾向があると、ちょっとした無視や皮肉を真に受けて、深く傷ついてしまうのです。
「我慢」「気遣い」が裏目に出るケース
「気にしないフリ」や「我慢」でやり過ごそうとすると、かえってストレスが溜まり、爆発や心身不調につながります。
職場・SNS・家庭でよくある“疲弊パターン”
- 上司の一言にずっとモヤモヤ
- SNSでの反応が薄いと不安になる
- 家族やママ友との言い回しを深読みしてしまう
いずれも、受け取りすぎて疲れてしまうパターンです。

スルースキルを高める実践5STEP
① 感情にラベルを貼る(メタ認知)
「今、自分は何に反応しているのか?」を言語化するだけで、感情は落ち着きます。
怒り、不安、寂しさなど、感じたままに“名前をつける”ことで、感情が整理され、客観的な視点が持てるようになります。
② 境界線をひく練習(自他の線引き)
自分の感情・価値観と、他人のものを混同しない意識が重要です。
「それは相手の問題」と心の中で唱えるだけでも効果的です。
③ “反応しない練習”(認知行動アプローチ)
反射的にムッとしたり落ち込む前に、ワンクッション置く。
「その言葉、本当に私に向けたもの?」「ただの口癖では?」と疑ってみるクセづけが◎。
これは意識して繰り返しましょう!
④ 自分軸を持つ(価値観の棚卸し)
他人にどう思われるかではなく、「自分がどうありたいか」を基準に行動すると、外からの評価に揺れにくくなります。ノートに書き出すのもおすすめ。
⑤ あえて「逃げる・離れる」選択肢もOK
無理に向き合わない。
「この人とは距離を取る」という選択も立派な自己防衛です。
関係を断つことが目的ではなく、心の平穏を取り戻す手段として考えましょう。

実例で学ぶ!スルースキルの使いどころ
例①:職場の「否定ばかりの先輩」への対応
何か提案するたびに否定される。
以前は深く傷ついていたが、「この人は“否定”でしか関われない不器用な人」と受け止めたら、心が軽くなった。
例②:「空気を読まない発言」にいちいち反応していた私
会話中に突然話を変える人にイラっとしていたが、「この人の癖」と捉えることで、スルーできるように。
例③:家庭やママ友での“距離の取り方”
無理して会話を盛り上げようとせず、「聞き役」に回る戦略に切り替えたら、疲れにくくなった。
▼気になる記事3選▼
「スルースキルが高い人」の特徴5つ
- 共感はするけど巻き込まれない
- 感情を俯瞰できる
- 怒らせない・波風立てない言い方がうまい
- 自分の境界線を守る習慣がある
- その場で白黒つけようとしない
『道は開ける』(D・カーネギー 著)では、「人は自分が思っているほど他人に見られていない」とあります。だからこそ、他人の評価を“すべて真に受けない”心のゆとりが大切です。

まとめ|「全部受けない」は甘えじゃない。大人の“生き抜く力”です
- スルースキルは「鈍感力」ではなく「自己管理力」
- 繊細さを活かしつつ、反応を選べる力を育てる
- 他人と距離を取りながらも関係性を壊さない方法はある
「まともに受けない」は冷たい態度ではありません。
それは“自分と他人を大切にするための境界線”です。
あなたがあなたらしく、しなやかに生きるための術として、ぜひスルースキルを日常に取り入れてみてください。

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