暑さと睡眠の関係:睡眠オタクな作業療法士の視点

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暑さが睡眠に与える影響は非常に大きく、特に夏場や高温多湿な環境では、良質な睡眠を確保することが難しくなります。

本記事では、暑さと睡眠の関係を医療的視点から掘り下げ、そのメカニズムや対策について詳しく解説します。

暑さが睡眠に与える影響

①体温調節と睡眠

人間の体温は24時間周期の概日リズム(サーカディアンリズム)に従って変動します。通常、体温は夕方に最も高くなり、睡眠前に徐々に低下します。

この体温の低下が、深い睡眠(ノンレム睡眠)に入るために重要です!!!!

②睡眠段階への影響

睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠に分かれますが、暑さは特にノンレム睡眠の第3段階(徐波睡眠)に影響を与えます。

この段階は身体の修復や成長ホルモンの分泌が盛んなため、健康維持に欠かせません。高温環境では、徐波睡眠の時間が減少し、睡眠の質が低下します。

▼サーカディアンリズムについて▼

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医療用語の解説

  • 概日リズム(サーカディアンリズム): 24時間周期の生体リズム。主に体温、ホルモン分泌、睡眠・覚醒のサイクルを調整。
  • レム睡眠: 夢を見ることが多く、脳が活発に活動している睡眠段階。急速眼球運動(Rapid Eye Movement)が特徴。
  • ノンレム睡眠: 4つの段階に分かれる深い睡眠。身体の修復や成長ホルモンの分泌が盛んに行われる。

暑さに対する対策

環境調整

エアコンの利用: 室温を20〜25℃に保つことが理想的です。湿度も50〜60%に調整することで、快適な睡眠環境を整えます。

冷却寝具の使用: 冷感シーツやジェルパッドなど、体温を効率的に下げる寝具を活用しましょう。

▼通気性の良い寝具について▼

▼布団の中温度が室温より大事▼

身体のクールダウン

ぬるめのシャワー: 寝る前にぬるめのシャワーを浴びることで、体温を徐々に下げ、睡眠に入りやすくします。

冷たい飲み物: 冷たい水やハーブティーを摂取することで、体内部から冷却を図ります。ただし、カフェインは避けるべきです。

医療的助言

医師への相談: 睡眠障害が続く場合は、専門医に相談し、適切な治療法を検討することが重要です。特に、**不眠症(インソムニア)や睡眠時無呼吸症候群(SAS)**の可能性がある場合、早期の診断と治療が求められます。

写真:こども睡眠授業の様子

結論

暑さが睡眠に与える影響は深刻であり、適切な対策を講じることが健康維持に不可欠です。体温調節のメカニズムを理解し、環境調整や身体のクールダウンを実践することで、快適な睡眠を確保しましょう。また、睡眠に関する問題が続く場合は、医師に相談し、専門的なアドバイスを受けることが重要です。

このような対策を通じて、暑い季節でも質の高い睡眠を維持し、健康的な生活を送りましょう。

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参考文献

Sleep Foundation – “How Temperature Affects Sleep”

National Institutes of Health (NIH)“Circadian Rhythms”

Journal of Physiological Anthropology – “Effects of environmental temperature on sleep and circadian rhythm”

Sleep Medicine Reviews – “Thermoregulation and sleep: mechanisms and practical consequences”

American Sleep Apnea Association – “Understanding and Improving Your Sleep”

PubMed Central (PMC) – “Impact of High Temperatures on Sleep and Physical Health”

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