目次
思春期の睡眠メカニズムと夜更かしの関係
思春期になると、多くの中高生が夜更かしをするようになります。
その理由には、生理的な体内時計の変化と社会的な生活スタイルの影響が大きく関わっています。
1. 体内時計の後退(睡眠相後退症候群)
思春期には、メラトニン(睡眠ホルモン)の分泌タイミングが約2時間後ろ倒しになります。
これにより、「眠たくなる時間」が遅くなり、夜更かしが当たり前になりやすいのです。
この2時間ズレる理由については、この記事の後半をチェックください。
2. 自律神経の乱れ
学校や部活、受験勉強のストレスにより交感神経が優位になり、リラックスができずベッドの上でゴロゴロしてもなかなか眠れません。
3. 社会的要因と環境要因
スマホ、ゲーム、SNSといった刺激が多い環境が、思春期の夜更かしを助長します。特に、寝る前のスマホ使用は、ブルーライトがメラトニン分泌を抑制し、眠気が来なくなる原因となります。
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なぜベッドの上でゴロゴロすると眠れなくなるのか?
「ベッドに入ったのに眠れない…」という経験はありませんか?これは条件付けによるものです。
1. ベッド=覚醒の場になる
本来、ベッドは「眠る場所」として脳に認識されるべきですが、スマホや動画視聴、SNSチェックなどをベッドの上で行うと、ベッドが「活動の場」と認識され、眠れない原因になります。
2. スマホ使用による覚醒作用
特に、寝る直前のスマホはブルーライトがメラトニン分泌を抑制し、寝つきを悪化させます。
さらに、SNSや動画の内容が脳を興奮状態にし、寝る時間をどんどん後ろ倒しにしてしまいます。
SNSはニュースを見るのとは違い、特に脳が興奮状態になりやすいので、夜は通知オフになるよう設定しましょう!
3. 睡眠慣性
眠くなったからといってすぐに寝られるわけではなく、布団の中でゴロゴロしてしまう時間が発生します。
この間にスマホをいじることで、さらに覚醒してしまう悪循環に陥ります。
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スマホが睡眠を妨げる科学的理由
スマホが睡眠に与える悪影響には以下のような要因があります。
1. ブルーライトによるメラトニン分泌抑制
スマホやタブレットのブルーライトは、メラトニンの分泌を約90分間抑制することが研究で分かっています。その結果、眠気が来なくなり、夜更かしの原因となります。
2. SNS依存による脳の興奮状態
TikTokやYouTube、Instagramなどは、短時間で強い刺激を得られるため、ドーパミンが分泌され、脳が興奮状態になります。
その結果、「あと1本だけ」と続けてしまい、気づけば深夜ということになりがちです。
3. 睡眠の質低下と浅眠化
夜間のスマホ使用はノンレム睡眠の深さを低下させ、浅い睡眠が増えます。その結果、朝起きれない、昼間眠たいといった問題が発生します。
朝起きれない・昼間眠たいのは睡眠負債のサイン?
思春期の夜更かしは、慢性的な睡眠不足を引き起こし、以下のような症状を引き起こします。
1. 朝起きれないのは概日リズムのズレ
前述のように、思春期には体内時計が後退するため、夜更かししがちになります。
しかし、学校の開始時間は変わらないため、睡眠時間が不足し、朝起きれない状態になります。
2. 昼間眠たいのは睡眠負債が溜まっている証拠
十分な睡眠時間を確保できていないため、日中の授業中に眠気が襲ってきます。
これは授業に集中できないことにつながり、成績にも影響してきますね。
これは睡眠負債と呼ばれ、脳のパフォーマンスを低下させます。
3. 睡眠不足による認知機能の低下
慢性的な睡眠不足は、集中力・記憶力の低下を引き起こし、学業成績にも悪影響を及ぼします。また、感情のコントロールが難しくなり、イライラしやすくなるという問題もあります。
睡眠リズムを整えるための専門家推奨の対策
1. 寝る90分前にスマホを手放す
メラトニンの分泌を妨げないために、寝る前はスマホを手放し、読書やストレッチなどリラックスできる活動を行いましょう。
2. 規則正しい睡眠スケジュール厳守
・毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
・休日に寝溜めしすぎない(リズムが崩れる)
3. 朝日を浴びて体内時計をリセット
・朝起きたらすぐにカーテンを開け、太陽光を浴びる
・10分程度の軽い運動をする(散歩オススメ)
4. ベッドの上ではスマホ禁止
・ベッド=睡眠の場所というルールを作る
・スマホは寝室の外に置く
5. 夕方以降のカフェインを控える
カフェインの効果は約6時間持続するため、夕方以降のコーヒーやエナジードリンクは控えましょう。
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思春期に体内時計が2時間ズレる理由と科学的根拠
思春期に体内時計(概日リズム)が後退し、2時間ほどズレるのは、生物学的・環境的な要因が複雑に関与しています。
1. 生物学的要因(ホルモンの変化)
① メラトニン分泌の遅延
メラトニン(睡眠ホルモン)は暗くなると分泌が始まり、睡眠を促すホルモンですが、思春期にはその分泌開始が約1〜2時間遅れることが分かっています。
Crowley et al. (2007) の研究によると、10代の若者ではメラトニン分泌のピークが成人より約1.5〜2時間遅れることが確認されています。
Randler & Frech (2006) の調査でも、思春期に入ると自然な就寝時間が遅くなり、朝型から夜型へ移行する傾向が見られると報告されています。
このメラトニン分泌の遅れにより、思春期の子どもは「夜になっても眠くならない」→「夜更かしする」→「朝起きられない」というサイクルに陥りやすくなります。
② 思春期ホルモン(テストステロン・エストロゲン)の影響
思春期になると、テストステロンやエストロゲンといった性ホルモンが増加します。
これらのホルモンが体内時計を調整する脳の視交叉上核(SCN)に影響を与えることで、睡眠リズムが後退する可能性が示唆されています。
Hagenauer et al. (2009) の研究では、思春期における性ホルモンの増加が概日リズムの後退に寄与していることが示唆されています。
特にテストステロンは、脳内の睡眠調節中枢(視交叉上核や松果体)に作用し、夜間の覚醒傾向を強める可能性があると考えられています。
2. 神経生理学的要因(脳の発達)
① 視交叉上核(SCN)の感受性変化
体内時計を司る視交叉上核(SCN)は、成長に伴いその感受性が変化します。思春期では夜間の光刺激に対する感受性が高まり、夜遅くまで覚醒しやすくなることが指摘されています。
Carskadon et al. (1999) の研究では、思春期の子どもは夜間の人工光(スマホ・PCのブルーライトなど)に対する感受性が高まり、メラトニン分泌がさらに遅れることが示されました。
つまり、夜にスマホやゲームの光を浴びると、体内時計がさらに後退し、ますます夜更かし傾向が強くなります。
② シナプスの再編成と前頭葉の発達
思春期は脳の発達が活発な時期であり、特に前頭葉の発達が未熟な段階です。前頭葉は自己制御や意思決定を担う部位であり、睡眠管理にも関わっています。
Steinberg (2008) の研究では、思春期の前頭葉の未発達により、「早く寝よう」という意思決定が難しくなることが示されています。
その結果、「スマホをやめられない」「ゲームを続けてしまう」といった行動が増え、夜更かしが定着しやすくなります。
3. 環境要因(社会・生活習慣)
① 夜型化を促進する社会的要因
思春期の子どもたちは受験勉強・塾・部活・SNS・動画視聴など、夜遅くまで活動する機会が多くなります。
これは、体内時計の後退をさらに助長する環境要因になります。
Wahlstrom (2002) の研究では、学校の開始時間が早い地域ほど、思春期の子どもたちの睡眠時間が短くなり、昼間の眠気が増加することが示されています。
そのため、学校の開始時間を遅らせることで、睡眠不足を改善し、学習能力が向上する可能性が指摘されています。
② スマホ・SNSの普及
スマホやSNSの普及により、夜遅くまでスクリーンを見続ける習慣がついてしまいがちです。特に、スマホのブルーライトはメラトニン分泌を抑制するため、体内時計の後退を加速させます。
Chang et al. (2015) の研究では、寝る前のスマホ使用がメラトニン分泌を50%以上抑制し、眠気が来るのを1時間以上遅らせることが明らかになっています。
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まとめ
思春期の夜更かしには生理的な要因と環境要因が大きく関与しています。
特に、スマホの使いすぎやベッドの上でのゴロゴロは、睡眠の質を低下させる原因になります。
📌 睡眠改善のポイント
✅ スマホは寝る90分前にやめる
✅ 朝日を浴びて体内時計をリセット
✅ ベッドの上ではスマホ禁止
✅ カフェインを控え、規則正しい睡眠スケジュール維持
これらの習慣を取り入れ、思春期の睡眠負債を減らし、スッキリした朝を迎えましょう!
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