この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。

国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。

ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。

本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。

はじめに|その不調、腹圧不足が原因かも?

  • 肩こりや腰痛が慢性化している
  • 呼吸が浅く、疲れが取れない
  • 寝返りのたびに目が覚める

そんな不調を抱えるあなたに必要なのが「腹圧コントロール=ブレーシング」です。

この記事では、私自身が最も推しているセルフトレーニングである「ブレーシング」の効果とやり方、失敗パターンまで徹底解説します。

🧬 ブレーシングとは?医学・運動学が注目する「腹腔内圧」テクニック

ブレーシング(Bracing)は、横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋という“インナーユニット”を協調させて腹腔内圧(IAP)を高め、体幹を安定化させる技術です。

表面の筋肉を固めるのではなく、お腹を360°に膨らませて支えるのが特徴

呼吸と連動しながら軸を安定させることで、姿勢・運動・睡眠の質が向上します。

ざっくり簡単にまとめると、腹圧(腹腔内圧)を高めて体幹を安定化させるテクだと思ってください!

これは単なる筋トレ法ではなく、腰痛予防・姿勢改善・運動パフォーマンス向上・睡眠の質改善まで関与する、現代人にこそ必須の身体操作スキルです。

🔍「腹圧による体幹安定は、筋力よりも重要である」
── McGill SM.(腰痛研究の世界的権威)

💬「私たちの身体は、外から“固める”のではなく、内から“膨らませる”ことで安定します」
── 石垣貴康(睡眠オタクな作業療法士)

腹圧(IAP)とは?

腹腔内圧(Intra-Abdominal Pressure)は、横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋で構成される“インナーユニット”によってコントロールされる体幹内の内圧です。

🌟 ブレーシングで得られる10の効果

  1. 腰痛予防・改善:抗重力活動で負荷分散
  2. 姿勢の安定:猫背・反り腰対策に
  3. 呼吸が深くなる:横隔膜の可動域UP
  4. 睡眠の質向上:中途覚醒を防ぐ
  5. ぽっこりお腹の改善:内臓位置が整う
  6. 運動効率UP:四肢が軽くなる
  7. 自律神経の安定:副交感神経優位へ
  8. 尿もれ予防:骨盤底筋も活性
  9. 集中力UP:姿勢改善で脳血流も促進
  10. 寝返り最適化:無意識の動作が滑らかに
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石垣がブレーシングを推す理由|「現場で見てきた変化」の積み重ね

作業療法士として18年以上にわたり、リハビリや整体、睡眠相談の現場に携わってきた私は、ブレーシングを“すべての人の基礎体力”と捉えています。

なぜなら――
以下のような現象を何千人というクライアントの身体から見てきたからです。

📌 臨床現場で感じた“腹圧の力”

  • 寝返りのたびに起きていた高齢者が、腹圧コントロールの練習でぐっすり眠れるようになった
  • 姿勢が崩れやすい子どもが、腹圧を意識することで集中力が持続するようになった
  • 腰痛で何をしても痛がっていたクライアントが、「内側から支える」ことで仕事中も安定して立てるようになった

ブレーシングは、表面的な筋トレや姿勢矯正とは違い、
“動き”と“休息”のどちらにも効く、まさに「体の土台」です。

🧠「無理なく動けて、ぐっすり眠れる」――
これを同時に叶える方法は、今のところブレーシング以上のものは見つかっていません。

「整える=筋肉を鍛える」ではなく、「圧を通す」。これが石垣式の原則です。

Totonoe-整-の様子

🔄 ブレーシングのやり方【初心者OK】

✅ STEP1:仰向けで膝立て

  • リラックスして寝る
  • 鼻から息を吸い、お腹全体を膨らませる
  • 息を吐いてもお腹をしぼませない

✅ STEP2:呼吸と連動

  • 息を吸う=横隔膜が下降し腹圧アップ
  • 息を吐く=腹横筋で圧を保つ
  • “しゃべれる圧” がベスト

✅ STEP3:日常動作で応用

  • 歩く、起きる、持つ、寝返りでも使える
  • 軸を安定させて動作を軽やかに

🔪 ドローインとの違い

項目ドローインブレーシング
方法お腹をへこませるお腹を膨らませる
筋肉腹横筋横隔膜・多裂筋含む全体
呼吸止めがち呼吸しながら圧維持
対象初心者実践者・動作中

🧠 Dr. Hodges(神経生理学の権威)は
「腹腔内圧は、“動作開始前”に脳が先に発火させている」と指摘。
つまり、“動く前に腹圧”が正解です。

ブレーシングで失敗する人がやりがちな3つの落とし穴

いくら効果が高いブレーシングでも、やり方を間違えると逆効果になってしまうケースがあります。

ここでは、現場でよく見る「失敗パターン」とその改善法をご紹介します。

❶ お腹だけに力を入れて“固めて”しまう

典型例:腹筋を硬くする=ブレーシングだと思っている

これは非常に多い誤解です。

腹直筋(シックスパック筋)だけをガチガチに固めてしまい、結果的に呼吸が止まり、横隔膜や骨盤底筋が全く使われない状態に。

この状態では腹圧は「局所的にしかかからず」、むしろ脊柱に過剰な圧がかかって腰を痛めやすくなります

▶ 改善策
・お腹を膨らませるイメージ(360度)を持つ
・「しゃべれるくらいの圧力」をキープ
・力を入れすぎない、6〜7割の感覚を意識する

❷ 呼吸を止めてしまい、血圧が上がる

典型例:「圧を逃がしちゃいけない!」と息を止めてしまう

息を止めて腹圧をかけると、一時的には強くなったように感じますが、それはバルサルバ効果と呼ばれる状態です。

これは高血圧の人や高齢者にとっては、脳血管イベント(脳卒中・失神)などのリスクにもなりかねません。

▶ 改善策
・常に「会話できる腹圧」が基本
・呼吸と圧力は“両立”することが前提
・力まず、呼吸を滑らかに通す練習から始める

❸ 腰や肩に力が入り「全身が緊張」してしまう

典型例:腹圧を意識しすぎて、肩をすくめる/腰を反らせる

とくに初心者や身体意識が低い人ほど、“頑張ってやろう”としすぎて全身に力が入ってしまいます。

これでは本来リラックス状態で働くはずのインナーユニットが「逆に抑制」されてしまい、動きも呼吸も硬くなります。

▶ 改善策
・まず仰向けや座位で、リラックスした状態で練習
・手をお腹に当てて、肩や背中が硬くなっていないか確認
・「最小限の力で最大の支え」がブレーシングの本質

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🧠 なぜ腹圧が必要なのか?|“姿勢”と“呼吸”の架け橋

人間の胴体は「骨のない空間=腹腔」であり、支えは筋肉と内圧によって成り立っています。

その腹圧を高める主役が以下のインナーユニット4兄弟です。

  • 横隔膜(上から支える)
  • 腹横筋(前・横から包み込む)
  • 多裂筋(背骨を支える)
  • 骨盤底筋群(下から支える)

これらが連携することで、「ブレない体幹=しなやかな軸」が生まれます。

▼気になる記事3選▼

ブレーシングを続けるとどうなれる?

  1. ✅ 軸が通った“疲れないカラダ”に変化
  2. ✅ 姿勢が良くなり、第一印象が変わる
  3. ✅ 「深く眠れた」という実感が生まれる
  4. ✅ 睡眠中のいびきや中途覚醒が減る
  5. ✅ 自分の身体に対しての“操作感覚”が高まる
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🌟 まとめ|腹圧で「動き」と「休息」をつなぐ

ブレーシングは、単なる体幹トレーニングではありません。

呼吸・姿勢・動作・睡眠すべてを整える“身体操作術”

身体の内側から支えを作ることで、
あなたの疲れ・眠り・動き・集中が変わります。

整えるとは「固める」ことではなく、
圧を通して、自由に動ける軸をつくること

今日から、あなたの中の“しなやかな支え”を取り戻しましょう。

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\どんな活動してるの?/

❓ よくある質問(FAQ)

Q1. ブレーシングで息を止めるのが正しいの?

A. いいえ。呼吸を止めるのは逆効果です。「しゃべれる程度の圧」を保ちながら行うのが正解です。

ブレーシング=腹圧をかける=息を止める、と思っていませんか?
実はそれ、大きな誤解です。

息を止めて腹圧をかける「バルサルバ法」は、一時的な力発揮には有効ですが、血圧上昇・脳への負担・自律神経の乱れなどのリスクも伴います。

とくに高血圧の方や高齢者は要注意。
本来のブレーシングは、「呼吸を止めずに、圧をかけ続ける」技術です。

✅「しゃべれる程度の圧」が目安
✅ 呼吸しながらお腹を膨らませ、圧を逃さず保つ
✅ 息が苦しい・肩が上がるのはやりすぎのサイン

Q2. 腹筋が弱い人でもブレーシングできますか?

A. もちろん可能です。筋力よりも“感覚”と“連動性”がカギです。

ブレーシングは「筋力勝負」ではありません。
腹筋バキバキの人でも、感覚が鈍ければ正しく腹圧をかけられません。

むしろ重要なのは、横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋といった“インナーユニット”を**呼吸と連動させて使えるかどうか”です。

これは筋トレではなく、神経−筋の再教育トレーニング
感覚を磨けば、誰でも習得可能です。

✅ 年齢・性別・運動歴に関係なし
✅ 「意識する」だけで感覚は変わる
✅ 寝ながら練習できるのでリスクも低い

Q3. ブレーシングの効果はどのくらいで出るの?

A. その日から“実感”できる人もいます。継続で「癖づけ」が可能です。

ブレーシングのすごいところは、日常生活の“中で”使えること
筋トレやストレッチのように「時間を取ってやる」ものではなく、歩く・座る・寝返りなど、すべての動作に“ついでに”活かせます。

効果を感じる目安は以下のとおりです:

  • ✅ 初日:姿勢が楽になる、呼吸が深くなる
  • ✅ 数日:寝返りや立ち上がりがスムーズに
  • ✅ 1週間〜:疲れにくさ、睡眠の質、姿勢に安定感

「気づいたときに意識する」だけでも、ブレーシングはあなたの身体を変えはじめます。

🔁 補足:どんな人が特にブレーシングを取り入れるべき?

  • ✔ 姿勢が崩れやすいデスクワーカー
  • ✔ 寝返りで目が覚める方
  • ✔ 運動中に軸がブレやすい方
  • ✔ 腰痛持ちの方
  • ✔ 骨盤底筋の機能が気になる女性
  • ✔ 睡眠の質を本気で上げたい方

🧠 ワンポイント解説:ブレーシングは「感覚神経トレーニング」

ブレーシングは、単なる筋トレでも呼吸法でもありません。

  • 呼吸(横隔膜)
  • 姿勢(体幹)
  • 意識(感覚神経)

この3つを“再接続”するための神経系トレーニングなのです。

「鍛える」前に「感じる」。
その一歩が、あなたの身体の使い方を根本から変えます。

📖 参考文献・エビデンス

  • Hodges PW et al. (2003). Manual Therapy
  • McGill SM (2007). Low Back Disorders. Human Kinetics
  • Akuthota V et al. (2008). Core stability in sports medicine
  • 日本理学療法学会誌、睡眠医療学会誌より抜粋
  • 石垣貴康(2025)「睡眠のリハビリテーションアプローチ」