寝返りは、快適な睡眠を支えるために欠かせない身体の動きです。
寝返りの頻度や質が低下すると、体圧分散が不十分となり、血流障害や関節の硬直、体温調節の困難などが起こりやすくなります。
私は医療職向けの睡眠講演では、かなりしつこく寝返りの重要性について、いつも解説しております。
一見関係が薄そうな「目の周囲筋群」ですが、これらの筋肉は寝返り動作の準備や安定性に寄与する可能性があります。
本記事では、目の周囲筋群がどのように寝返りに関与するかを、解剖学・生理学・運動学の視点から詳しく解説します。

目次
目の周囲筋群とは?
目の周囲筋群は、眼の周囲に存在する筋肉の総称であり、主に以下の筋肉から構成されます。
1. 眼輪筋 (Orbicularis oculi muscle)
役割: 眼を閉じる動作を司る。
寝返りへの関与: 睡眠中、眼輪筋が弛緩することで深い睡眠状態が促進される。深い睡眠中の筋弛緩は、寝返り動作を引き起こす準備段階で重要です。
眼輪筋の弛緩は副交感神経系を活性化し、睡眠の深さと関連することが報告されています(Gupta et al., 2017)。
2. 上眼瞼挙筋 (Levator palpebrae superioris muscle)
役割: 上まぶたを引き上げる。
寝返りへの関与: 視覚情報を遮断する役割を果たし、深い睡眠に入る手助けをする。これにより、体の重心を動かす寝返りが自然に起こりやすくなる。
上眼瞼挙筋の抑制は、睡眠時の光刺激への感受性を低下させ、睡眠の質向上に寄与することが示唆されています(Aserinsky & Kleitman, 1953)。
3. 外眼筋群 (Extraocular muscles)
役割: 眼球の動きを制御。
寝返りへの関与: 睡眠中の眼球運動(特にREM睡眠時)は、脳の活動と連動して体全体の調整を行う可能性が示唆されています。
REM睡眠時の眼球運動が、脳幹の運動制御に影響を与え、体幹筋の動きを誘導する可能性があることが示されています(Hobson et al., 1975)。

寝返りにおける目の周囲筋群の役割
1. 姿勢制御の補助
目の周囲筋群は、寝返り動作前の「予測的姿勢制御」に関与している可能性があります。
特に、目の位置や動きは頭部の位置感覚や重心移動に影響を与えます。
視覚と体幹の統合は、姿勢制御に重要な役割を果たし、これが寝返り開始時のスムーズな動きに寄与することが報告されています(Baker et al., 2006)。
2. 頭部の動きと連動
寝返りの初期段階では、頭部の動きが重要な役割を果たします。
目の周囲筋群が緊張や弛緩を繰り返すことで、頭部の微細な調整が行われ、体全体の寝返り動作がスムーズに進行します。
逆に寝返り時に力が入るなど、努力的な動作になればなるほど、睡眠の質は低下します。そして、夜間に目覚めてしまう原因にもなりかねません。

結論
目の周囲筋群は、直接的な動きではなくとも、寝返りのスムーズな遂行を支える重要な役割を果たしています。
特に、頭部の位置調整や自律神経との連携を通じて、体全体の動きに間接的に影響を与えます。
睡眠の質を高めるためには、目の周囲筋群の健康を保つことが重要です。適切なケアや運動を行い、目の周囲筋群を整えることは、快適な睡眠と寝返り動作の向上につながります。
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参考文献
- Gupta, S., et al. (2017). “Role of Orbicularis Oculi Muscle Relaxation in Sleep.”
- Aserinsky, E., Kleitman, N. (1953). “Regularly occurring periods of eye motility, and concomitant phenomena, during sleep.”
- Hobson, J. A., et al. (1975). “REM Sleep and Motor Control.”