この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。

国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。

ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。

本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。

「サプリに頼りすぎるのは良くない。でも、毎日の食事から必要な栄養をすべて補うのは現実的に可能なのか?

答えは――正直、無理ゲーです。

特に「腸内環境」と「睡眠」を良くしようと考えたとき、栄養素の必要量は現代人の食生活では到底追いつきません

本記事では、腸活と睡眠の最新科学を踏まえながら、「なぜ経口摂取だけでは足りないのか?」「どうやって補うべきか?」を徹底的に解説します。

よくある誤解:「食事で足りるはず」

栄養学の基本は「バランスの良い食事」。

しかし実際には以下の壁があります。

  1. 農作物の栄養価の低下(ミネラル含有量は50年前より20〜40%減)
  2. 加工食品・外食中心の食生活
  3. 消化吸収の個人差(腸内環境によって吸収効率は大きく変化)
  4. ストレスや睡眠不足による栄養消耗

つまり、「同じ量を食べても昔と同じ栄養は摂れない」現実があるのです。

引用:国立健康・栄養研究所(2019)
「現代人の多くは必要なビタミン・ミネラルを食事のみで充足することが困難である」

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腸活と睡眠に必要な代表的栄養素

1. トリプトファン

  • セロトニン・メラトニンの材料
  • 睡眠リズムを整える鍵
    👉 1日必要量:約2g
    👉 食事で補うには:納豆4パック or 鶏むね肉300g など
    → 毎日これを継続するのは現実的に難しい。

エビデンス:Fernstrom JD, 2013 (Journal of Nutrition)
「トリプトファン不足は睡眠リズムの乱れを誘発する」

2. マグネシウム

  • 神経伝達・筋弛緩・メラトニン生成に必須
  • 現代人はほぼ全員不足気味
    👉 必要量:300〜400mg/日
    👉 食事で補うには:ほうれん草500g or アーモンド70粒

引用:国際睡眠医学誌(Sleep Medicine Reviews, 2017)
「マグネシウム補給は高齢者の睡眠効率を改善する」

3. 食物繊維 & プレバイオティクス

  • 腸内細菌のエサ
  • 不足すると短鎖脂肪酸産生↓ → 炎症↑ → 睡眠の質↓
    👉 必要量:20〜25g
    👉 日本人の平均摂取量:14g程度(約7割しか足りない)

エビデンス:Nutrients, 2020
「食物繊維摂取量が多いほど睡眠時間が安定し、深睡眠が増加する」

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「経口摂取では無理ゲー」の理由

  1. 必要量が多すぎる
    推奨摂取量をクリアしようとすると、毎食ごとに献立を計算する必要がある。
  2. 現代の食材の栄養価低下
    例えば鉄分は、ほうれん草100g中の含有量が1960年代の半分以下。
  3. 吸収効率の問題
    ・胃腸の状態によって50%以下に低下
    ・腸内細菌バランスの悪化でさらに効率ダウン
  4. ストレスと睡眠不足による消耗
    マグネシウム・ビタミンC・亜鉛などはストレスが強いと一気に失われる。

引用:Harvard Medical School, 2021
「ストレスはマグネシウムや亜鉛を急速に消耗させ、睡眠障害を助長する」

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腸活と睡眠を支える「効率的な補い方」

1. サプリメント・機能性食品の活用

  • トリプトファンは単体より「ビタミンB6」「マグネシウム」と一緒に摂ると変換効率UP。
  • プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌)+プレバイオティクス(食物繊維)のシナジーで腸内環境を改善。

2. 睡眠リズムを整える

  • 光・体温・食事時間で体内時計を調整すると、栄養素の代謝効率が最大化。

3. 現実的な「ハイブリッド戦略」

  • 食事からできる範囲を確保(野菜・発酵食品・良質なたんぱく質)
  • 不足分をピンポイントで補充(マグネシウム、オメガ3、プロバイオティクスなど)

引用:世界保健機関 WHO, 2022
「サプリメントは食事の代替ではなく、栄養不足を補うツールとして位置づけるべきである」

▼実際の講座の様子▼

科学的根拠からの裏付け

  • 睡眠と栄養の関係は「双方向性」
    睡眠不足 → 腸内環境の乱れ → 栄養吸収効率低下 → さらに睡眠の質悪化。
  • 2020年のレビュー(Nutrients誌)でも「マイクロバイオームと睡眠の関連性」が報告されており、腸活は単なる“お腹の健康”ではなく“脳と睡眠の健康”に直結する。

豆知識:神経生理学的視点
睡眠不足は自律神経を交感優位にし、腸管運動を低下させる(Mander BA, Nature Rev Neurosci, 2017)

実践に役立つチェックリスト

あなたの腸活&睡眠は大丈夫?

以下をYES/NOで確認しましょう。

✅ 1日20g以上の食物繊維を摂れている
✅ 週に3回以上、魚(オメガ3源)を食べている
✅ 発酵食品を毎日1品以上摂っている
✅ マグネシウムが豊富な食品(ナッツ・海藻)を意識している
✅ 夜は規則的に就寝し、睡眠時間を6.5〜8時間確保している
✅ ストレスが強い日は栄養補助を意識している
✅ サプリは「足りないものを補う」という目的で選んでいる

3つ以上NOがある方は要注意!

「無理ゲー」を放置せず、戦略的に腸活×睡眠を整えていきましょう。

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まとめ:無理ゲーだからこそ「設計」が大切

経口摂取だけで完璧を目指すのは不可能。

でも「だからサプリだけに頼ればいい」という話でもありません。

重要なのは、

  • 自分の腸内環境と生活リズムを理解すること
  • 必要な栄養をどこまで食事で摂るか、どこから補助するか設計すること

これが、腸活と睡眠を本当に改善するための現実的アプローチです。

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よくある質問(FAQ)

Q1. サプリを毎日飲んでも大丈夫?

基本的にサプリは「不足分を補うためのツール」であり、長期的に毎日飲んでも大きな問題はありません。

ただし注意すべきは用量と栄養素の種類です。

  • 水溶性ビタミン(B群・C) → 尿から排出されやすく過剰症リスクは低い。ただし、大量摂取で下痢や胃腸障害を起こすこともある。
  • 脂溶性ビタミン(A, D, E, K) → 体内に蓄積するため、特にビタミンAとDは過剰摂取で肝障害や高カルシウム血症のリスク。
  • ミネラル類(鉄・亜鉛・マグネシウム) → 適量は必須だが、過剰は便秘・下痢・吸収競合を引き起こす。

心配な方や服薬されている方は医療機関にご相談ください。

引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025年版」
「サプリメントは長期的に高用量を継続すると有害事象のリスクがあるため、推奨量を超えないよう注意が必要である」

Q2. 腸活と睡眠、どっちを優先すべき?

実は優先順位をつけるのはナンセンス

腸と睡眠は双方向に影響するからです。

  • 睡眠不足 → 腸内環境悪化
    研究によれば、2日間の睡眠不足で腸内細菌の多様性が有意に低下する(Benedict et al., Mol Metab, 2012)。
  • 腸内環境悪化 → 睡眠質低下
    善玉菌が作る短鎖脂肪酸(酪酸など)はメラトニン合成を促進し、腸内炎症が睡眠障害を悪化させる。

つまり「睡眠を整えることが腸活になる」し「腸を整えることが睡眠改善につながる」。

両輪で進めることがベスト戦略です。

Q3. 何から始めればいい?

難しく考える必要はありません。

まずは食物繊維+睡眠リズムを整えること。

  • 食物繊維
    水溶性(海藻・オクラ・ごぼう)と不溶性(野菜・豆類)のバランスを意識。プレバイオティクス(バナナ、玉ねぎ)もおすすめ。
  • 睡眠リズム
    ・朝に太陽光を浴びる
    ・就寝時刻を毎日30分以内で固定する
    ・寝る3時間前に夕食を終える

加えて、自分ができるややりやすいと感じる小さな一歩から始めるのが成功のコツ。

決して、これが良いからと無理しないことです。

持続可能なやり方で少しずつ進めてみてください。ご自身の生活に馴染むようすることをオススメします。

例:「夜22時以降はスマホを見ない」「納豆を毎日1パック追加」など。

引用:米国睡眠医学会(AASM, 2021)
「規則正しい睡眠習慣と腸内細菌叢の多様性を意識した食生活は、互いに補完的に作用し、長期的な健康維持につながる」

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