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幼児期の睡眠時間と昼寝の関係:なぜ昼寝が重要?
幼児期は、単相性睡眠(一度にまとまった睡眠)への移行が始まる重要な時期です。
多くの保育園では、小学校準備のため年長の1月頃から昼寝をなくす傾向にあります。
しかし、睡眠時間が不足すると、脳に疲労が蓄積され、夕方の帰宅後にぐずりやすくなることが問題視されています。
睡眠時間の確保が難しい中、「昼寝をしないこと」が子どもの発育にどう影響するかを詳しく解説します。
1. 睡眠時間不足が脳に与える影響と「脳疲労」
子どもの睡眠不足は、単なる疲れに留まらず、脳機能にも深刻な影響を与えます。
特に、慢性的な睡眠時間不足が脳の疲労を引き起こし、記憶力や集中力の低下につながることが研究で示されています。
脳が情報処理を効率的に行うためには、規則的な睡眠時間の確保が必要不可欠です。
2. 昼寝ができないなら「眠行」で脳疲労を軽減
昼寝をしない場合でも、脳疲労を和らげる方法として「眠行」を取り入れることが推奨されます。
「眠行」とは、起床後約6時間後に短時間目を閉じ、視覚情報を遮断するというアプローチで、脳がリセットされ、疲労を軽減する効果が期待されます。
例えば、午前7時に起床する子どもなら、午後1時頃に5分程度目を閉じるだけで、脳は一時的に休まります。この時間は昼寝の代替として、睡眠時間を補う一助となります。
3. 夜の睡眠時間を増やすための環境整備
寝室を「眠るだけの場所」に
夜に高質な睡眠時間を確保するため、寝室を「眠るだけの部屋」として意識づけることが重要です。
リビングで読み聞かせを行い、眠気が来たら寝室に移動することで、寝室を純粋に「睡眠のための空間」に変えることができます。これにより、睡眠時間が長くなるだけでなく、眠りの質も向上します。
「早寝早起き」ではなく「早起き早寝」でリズムを整える
帰宅後の流れが忙しく、早く寝かせることが難しい場合は、朝の起床時間を一定に保つ「早起き早寝」を実践することが効果的です。
子どものメラトニン分泌は、起床から約14時間後に活発になるため、このリズムを整えることで夜の睡眠時間が自然に確保され、健康的な睡眠サイクルが保てます。
4. 睡眠不足が発育に与えるリスク
日本の子どもは、世界的に見ても睡眠時間が短い傾向にあります。
睡眠時間不足は、学習面や情緒面に悪影響を及ぼすだけでなく、免疫力の低下や代謝不良、さらには肥満リスクの上昇にもつながります。
また、注意欠如多動性障害(ADHD)との誤診が増える一因とも言われ、睡眠不足が健康や発達に与える影響は深刻です。
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まとめ
昼寝をしないことで帰宅後のぐずりや脳疲労が気になる場合、「眠行」を取り入れたり、寝室環境を整えたりすることで、適切な睡眠時間を確保する工夫が可能です。
しっかりとした睡眠リズムの確立が、子どもの成長や学力向上に役立つことが期待されます。
睡眠オタクな作業療法士として、ぜひこの記事の方法を実践し、子どもに最適な睡眠環境を整えてください。
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参考文献
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- Dahl, R. E. (1996). The impact of inadequate sleep on children’s daytime cognitive function.
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023