夕方以降にうたた寝をすると、夜の就寝時に深いノンレム睡眠に到達しにくくなる理由には、睡眠圧の低下、サーカディアンリズムの乱れ、メラトニン分泌の抑制、そして体温リズムの変動が関与しています。
これらの要因は、夜の睡眠の質を大きく左右し、疲労回復や体の修復に影響を及ぼします。
目次
睡眠圧の低下
睡眠圧とは、覚醒時間が長くなるにつれて高まる、体が「眠りたい」と感じる欲求のことです。
下記の図の青い部分「睡眠欲求」が睡眠圧により高まり、睡眠により減少するイメージがわかりやすいです。
このように朝目覚めた時点では睡眠圧は低いですが、日中に覚醒状態が続くと、夜には自然と深い眠り(ノンレム睡眠)に入りやすくなります。
しかし、夕方以降にうたた寝や仮眠をすると、この睡眠圧が一時的にリセットされ、眠気が低下してしまいます。
その結果、夜の就寝時に深い眠りに入るための圧力が十分にかからず、ノンレム睡眠の段階に移行しづらくなります。
=深い睡眠が得られない⇀成長ホルモンの分泌や脳のクレンジングがされない⇀翌日には、熟睡感がなく、疲労感が残る
というような現象が起きてしまう原因の1つが「うたた寝」です。
サーカディアンリズムの乱れ
サーカディアンリズム(体内時計)は、24時間周期で睡眠サイクルや覚醒状態を調整する重要なメカニズムです。通常、メラトニンの分睡眠段階がスムーズに進行します。
しかし、夕方に居眠りや短いパワーナップをすると、体内時計が乱れてしまい、夜間の睡眠パターンが崩れます。
その結果、夜の本来の睡眠サイクルが遅れ、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが崩れる可能性があります。
特に、第1段階から第3段階にかけての深い徐波睡眠が減少し、脳や体の修復に必要な時間が確保できなくなります。
▼サーカディアンリズムについて詳しく▼
メラトニン分泌の抑制
メラトニンは、体が自然に眠りに入るために必要なホルモンです。夕方以降、体内のメラトニン分泌が睡眠モードに入る準備が整います。
しかし、夕方に短時間睡眠を取ると、メラトニンの分泌が抑制される場合があります。
これにより、就寝時に十分な眠気を感じなくなり、深いノンレム睡眠に体温調節もこのホルモンと密接に関連しており、体温リズムの睡眠の質が低下します。
体温リズムの影響
眠りに入るためには、体温が少し低下することが必要です。通常、体は夜間にかけて体温を低下させることで、体が眠る準備をします。
しかし、夕方以降にうたた寝や仮眠をすると、体温が一時的に低下し、その後再び上昇します。この一時的な体温の変動が、夜間の自然な体温の低下リズムを乱す原因となります。
体温リズムが乱れると、深層睡眠にスムーズに移行するのが困難になり、睡眠効率が低下します。
これにより、脳のリセットや体の修復が十分に行われず、翌日に疲労回復や認知機能の低下を引き起こす可能性があります。
▼季節別:温度対策について詳しく▼
対策: 夜間のノンレム睡眠を確保するために
- 夕方以降にうたた寝をしない。
- 日中にどうしても眠気が強い場合は、短時間のパワーナップ
- 規則的な睡眠習慣を心がけ、就寝時間と起床時間を一定に保つ。
- メラトニンの分泌を妨げないよう、夜は強い光を避ける。
- 寝る前のリラックス習慣を取り入れ、自然な眠気を誘う。
これらの対策を行うことで、夜間の深いノンレム睡眠を確保し、翌日の活動に十分なエネルギーを補充することが可能になります。
まとめ: 夕方以降のうたた寝が夜のノンレム睡眠に与える影響
夕方以降のうたた寝では睡眠圧の低下やサーカディアンリズム(体内時計)の乱れが発生し、さらにメラトニン分泌の抑制や体温リズムの変動によって、夜のノンレム睡眠にスムーズに移行できなくなります。
結果として、深層睡眠(ノンレム睡眠の第3段階)に到達しにくくなり、脳や身体の十分な回復が妨げられます。これにより、免疫機能の低下や疲労回復の妨げ、脳の老廃物が除去されないことで認知機能低下の恐れがあります。
夕方以降のうたた寝は、睡眠サイクルや睡眠の質に悪影響を及ぼすため、特に夜間の睡眠を妨げるリスクが高いことを理解しておくことが重要です。
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