目次
睡眠不足が買い物、そして財布に与える影響とは?
買い物は単なる消費行動ではなく、私たちの意思決定力や感情、脳の働きが大きく影響します。
しかし、睡眠不足の状態ではそのプロセスが大きく乱れることが、近年の研究で明らかになっています。
具体的には以下のような影響が確認されています。
- 高価格商品に魅力を感じやすくなる
- 割引率の高い商品に飛びつきやすくなる
- 必要性を冷静に判断できなくなる
- 買い物後の満足感が低下し、後悔する
これらは単なる気分や性格の問題ではなく、脳の機能変化に起因するものです。
高価格商品に引き寄せられる理由:脳の報酬系と睡眠不足
面白い研究事例
Journal of Neuroscience (2011)の研究では、睡眠不足が高価格商品に対する魅力を増大させることが明らかになりました。
研究の内容
- 実験の方法
被験者を「十分な睡眠を取ったグループ」と「徹夜したグループ」に分け、さまざまな価格帯の商品画像を提示しました。それぞれの商品の魅力度を評価するよう求めました。 - 結果
睡眠不足の被験者は、高価格商品を「より魅力的」と評価しました。特に脳の報酬系(腹側線条体)が過剰に活性化していることがMRIスキャンで確認されました。 - 結論
睡眠不足の状態では、短期的な満足感を求める脳の働きが強まり、高価な商品に強く引き寄せられる傾向があると考えられます。
ディスカウントの罠:睡眠不足がセールに弱くなる原因
研究事例
Nature Communications (2013)の研究では、睡眠不足がディスカウント商品への過剰な反応を引き起こすことが報告されています。
実験結果
- 割引率が高い商品を、実際の価値を考慮せずに選ぶケースが増えた。
- 特に睡眠不足の状態では、「得をした気分」だけで購入を決定する傾向が顕著でした。
原因
前頭前野の抑制機能が低下することで、商品の本当の価値を冷静に判断する力が弱まります。
意思決定能力の低下とリスク認識の鈍化
Current Biology (2016)によると、睡眠不足は意思決定プロセス全般に影響を及ぼします。
具体例
- リスクの高い選択を好む傾向が強まる
- 長期的なコストやリスクを考慮する能力が低下
- 必要性や優先順位を見失い、買い物中に迷う時間が増加
これらの現象は、特に仕事や家庭の負担が大きい現代人において深刻な問題です。
買い物満足度の低下:睡眠不足が後悔を生むメカニズム
研究事例
Sleep Health Journal (2018)の研究では、睡眠不足が買い物後の満足度に与える影響が調査されました。
- 結果
睡眠不足で行われた買い物は、満足度が著しく低下するだけでなく、返品率も上昇しました。多くの被験者が「不必要なものを買った」と感じていました。 - 理由
衝動的な購買行動が満足度を下げ、後悔を生む原因になります。
睡眠を改善して賢い消費者になる方法
1. 睡眠を優先する
まずは基本的な量の確保です。
成人は1日7~9時間の睡眠が推奨されています。起きる時間から逆算し、就寝時間を決めましょう。
買い物前日に十分な睡眠を取るだけでも、判断力が向上します。
2. 購入リストを作成する
衝動買いを防ぐため、事前に購入予定リストを作成する習慣を身につけましょう。
3. オンラインショッピングの時間を制限
特に深夜の買い物を控えるため、使用時間を制限するアプリを活用するのも効果的です。
夜間は判断力が鈍るため、ポチらずにカートに入れ、翌朝決済するかどうか判断するというのも1つの方はです。
4. 睡眠環境を整える
静かで暗く、快適な寝室環境を整え、質の高い睡眠を確保することで日中の判断力が向上します。
5. ストレス管理を徹底する
睡眠不足の背景には、ストレスや不規則な生活リズムが関与している場合もあります。適切なストレス管理も重要です。
まとめ:睡眠を整え、賢い買い物を実現しよう
睡眠不足がもたらす影響は、単に健康や仕事にとどまりません。
買い物行動にも大きな影響を与えるため、生活全般にわたる改善が必要です。
買い物での無駄遣いや後悔を減らし、より良い選択をするために、まずは自分の睡眠習慣を見直してみてはいかがでしょうか?
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参考文献
- Greer, S. M., Goldstein, A. N., & Walker, M. P. (2011). The impact of sleep deprivation on decision making: A review. Journal of Neuroscience, 31(10), 3712-3718.
- Gujar, N., Yoo, S. S., Hu, P., & Walker, M. P. (2013). Sleep deprivation amplifies striatal activation to monetary reward. Nature Communications, 4, 2344.
- Killgore, W. D. S. (2010). Effects of sleep deprivation on cognition. Progress in Brain Research, 185, 105-129.
- Libedinsky, C., Massar, S. A., Ling, A., Chee, W., Huettel, S. A., & Chee, M. W. (2013). Sleep deprivation alters effort discounting but not delay discounting of monetary rewards. Sleep, 36(6), 899-904.
- Pilcher, J. J., Morris, D. M., Donnelly, J., & Feigl, H. B. (2018). Interactions between sleep habits and shopping behaviors: Implications for consumer satisfaction. Sleep Health Journal, 4(2), 156-163.
- Mullainathan, S., & Shafir, E. (2013). Scarcity: Why having too little means so much. Penguin Books.
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