
この記事を書いたのは
睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。
医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県・桑名市で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。
本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。
目次
❓ なぜか疲れが取れない…それ、“起きすぎ”のせいかもしれません
- しっかり寝ているはずなのに日中眠い
- 寝つけない、夜に気持ちが落ち着かない
- 集中力が続かず、仕事の質が落ちた
これらの不調、実は「起きている時間が長すぎる」ことが原因かもしれません。
ポイントは、「覚醒時間」=どれだけ長く起きていたかにあります。

🧠 覚醒時間16時間を超えると、脳も身体も限界に達する
覚醒時間とは?
「覚醒時間」とは、起きてから次に眠るまでの活動時間のことです。
例えば、朝7時に起きて夜23時に寝ると、その日は16時間の覚醒となります。
人体には“活動可能時間の上限”がある
研究によると、人間の脳と体は16時間以上の連続覚醒に耐えられない設計になっています。
- 睡眠圧が最大に達する
- メラトニンが分泌開始
- 体温が低下し、入眠モードに
それを無視して活動を続けると、パフォーマンスが低下し、体内のホルモンバランスも崩れ、眠れない・疲れが取れないといった悪循環に陥ります。

🔬 科学的に証明された“覚醒時間16時間の壁”
睡眠圧(Process S)がピークに達する
起床後、脳内にはアデノシンという“眠気物質”が蓄積します。
このアデノシンの影響で「睡眠圧」が徐々に高まり、16時間前後でピークを迎えます。
→ これ以上起きていると、脳の集中力・判断力がどんどん低下。
メラトニンの分泌開始も“16時間後”
体内時計(サーカディアンリズム)によって、起床から14~16時間後にメラトニンが分泌され始め、入眠準備が始まります。
この時、深部体温も下がり、体は“休息モード”に切り替わります。
17時間を超えると、泥酔状態と同じ?
Dawson & Reid(1997)の研究によると、17時間以上の覚醒は、酒気帯び(血中アルコール濃度0.05%)と同程度の認知機能低下を起こすと報告されています。
💥 つまり、1日24時間中「使える時間は16時間」だけ!
この事実を知ると、こう思いませんか?
「私たちは、16時間しか“まともに”活動できない」
そして、その残り8時間は、**“睡眠でしか補えない”**というのが人間の構造です。

🕐 時間管理の新常識:「寝る時間」ではなく「起きてからの時間」で決める!
✔ 例)朝6時に起きたら、夜22時には就寝が理想
今までは「夜〇時に寝る」と設定していた人も、
今日からは**「起床から16時間後」に寝る時間をセット**してみてください。
✔ 「時間が足りない」は思い込み
1日は24時間あると思って詰め込むと、
脳の燃料切れを起こして“仕事も睡眠も中途半端”になります。
🛠️ 覚醒時間を意識した生活改善3ポイント
📌 起床後1時間以内に朝日を浴びる
→ メラトニン分泌のタイミングが16時間後に正しくセットされる
📌 就寝前のカフェイン・スマホ・光刺激を避ける
→ メラトニン分泌が阻害されると“眠れない体”になる
📌 平日と休日の起床時間をずらさない
→ サーカディアンリズムを守るのが最大の睡眠対策

📋 まとめ|「睡眠時間」よりも「覚醒時間」に目を向けよう
覚醒時間 | 状態 | リスク |
---|---|---|
~16時間以内 | 正常な集中力・判断力 | パフォーマンスが最大化 |
17時間以上 | 認知機能が低下 | 酒気帯びと同等の危険性 |
18時間以上 | 自律神経・情緒が不安定 | 入眠困難・イライラ・抑うつ |
✅ 今すぐできるチェックリスト
- 今日、起床から16時間以上活動していないか?
- 毎日の起床時間は一定か?
- 朝に日光を浴びているか?
- 寝る時間を「起床から16時間後」に設定しているか?
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🧠 よくある質問(FAQ)
❓ Q1. 毎日8時間寝てるのに、疲れが取れません。なぜでしょうか?
睡眠時間が8時間でも疲れが取れない場合、その原因は「覚醒時間の長さ」にある可能性が高いです。人間の脳は、起床してから約16時間経過すると、アデノシンという物質の蓄積によって“睡眠圧”が最大になります。この睡眠圧は、脳がこれ以上働けない状態を示す警告信号のようなものです。
例えば、朝6時に起きて、夜1時に寝る(=19時間覚醒)のような生活をしていると、8時間寝ても睡眠の質が追いつかず、疲労が残るのです。
さらに、長時間の覚醒は自律神経を乱し、夜間に深いノンレム睡眠が得られにくくなります。
つまり、「長時間起きすぎてしまった日」は、“睡眠の量”より“睡眠の質”が低下してしまうため、疲労が回復しにくいのです。
▶ 解決策:
「睡眠時間」だけでなく、「起床から何時間経っているか」を記録し、16時間以内の覚醒に収めるよう意識してみてください。特に就寝時間の固定がポイントです。
❓ Q2. 夜になると集中力が切れて、やる気も出ません。何が原因ですか?
それは、覚醒時間が限界を超えているサインかもしれません。
人間の脳は、起床後から時間が経つにつれて徐々にエネルギーを消耗していきます。
特に**前頭前野(判断力・注意力を司る部位)**は覚醒が長くなるほど機能低下を起こしやすく、夕方〜夜にかけて「ミスが増える」「集中力が続かない」「感情が不安定」などの現象が出やすくなります。
これは“甘え”や“意志の弱さ”ではなく、生理的に正しい反応です。特に17時間以上の覚醒は、酒気帯び運転と同レベルの認知機能低下をもたらすことが研究で示されています(Dawson & Reid, 1997)。
▶ 解決策:
朝型の時間に重要タスクを集中させ、夜は作業量を減らすような「活動時間の配分」が必要です。また、「今日は何時に起きたか」を基準に、16時間後には頭を休める設計をしてみてください。
❓ Q3. 睡眠時間は同じなのに、寝起きが良い日と悪い日があるのはなぜですか?
寝起きの質を決めるのは、単に睡眠時間の長さではなく、「その時間内に深い睡眠がどれだけ得られたか(睡眠の質)」と、「その前の覚醒時間が長すぎなかったか」という2つの要素です。
起床前に深いノンレム睡眠が減っていたり、メラトニンの分泌リズムがズレていたりすると、“浅い眠りのまま目覚める”ことになり、寝起きの倦怠感や頭の重さを感じやすくなります。
特に、覚醒時間が18時間以上あった日や、夜更かしをした日などは、メラトニンのリズムが狂って浅い睡眠の時間が増え、翌朝のパフォーマンスが低下しやすいです。
▶ 解決策:
毎日の起床時間を固定し、覚醒時間を16時間以内に抑えることで、体内時計が安定し、メラトニンと体温リズムが正確に働きます。結果的に「自然に目が覚める」朝を迎えやすくなります。
❓ Q4. 睡眠時間がバラバラでも問題ないでしょうか?
不規則な睡眠時間は、体内時計(概日リズム)を乱しやすく、睡眠の質にも悪影響を及ぼします。特に問題なのは、「起床時間が毎日違う」ことです。
人間の体は、毎朝の光刺激をもとに体内時計をリセットしています。起床時間が日によって違うと、メラトニン分泌のタイミングもズレ、眠気がこない夜や、朝のだるさが生じるのです。
▶ 解決策:
・起床時間を一定にする
・その起床から16時間後に就寝するような生活リズムを作る
・休日の「寝だめ」は1時間以内に抑える
このルールを守るだけで、覚醒・睡眠の切り替えがスムーズになり、日中のパフォーマンスが向上します。
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