デフォルトモードネットワークと睡眠-脳の休息状態とレム睡眠-

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何もしていない時でも脳は働いています

私は作業療法士として、日々のクライアントとの関わりの中で、このデフォルトモードネットワークの働きの重要性を体感してます。

そのようなことを記事では、脳科学と睡眠研究の最新の知見を交えながら、デフォルトモードネットワーク(Default Mode Network, DMN)と睡眠の深い関係について掘り下げてみたいと思います。

デフォルトモードネットワーク(DMN)とは?

デフォルトモードネットワーク(DMN)は、脳が「休息状態」にあるときに活動する一連の脳領域の集合体です。

DMNは、脳が外部の刺激から解放され、自己関連の情報処理を行うときに特に活性化します。

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DMNの主要な構成要素

DMNは、いくつかの重要な脳領域から構成されており、それぞれが異なる機能を持っています。

後部帯状皮質(Posterior Cingulate Cortex, PCC)

内省や自己参照的思考に関連し、自己と他者の視点を理解する際に重要な役割を果たします。

内側前頭前皮質(Medial Prefrontal Cortex, mPFC)

自己関連情報の処理や社会的認知に関与し、自己認識や社会的な判断を行う際に重要です。

後部頭頂皮質(Posterior Parietal Cortex, PPC)

空間的な注意や自己の位置の把握に関連し、自己と環境の関係を理解するために必要です。

楔前部(Precuneus)

視覚イメージやエピソード記憶の再生に関連し、自己の過去の経験や未来の計画を視覚化する際に重要です。

睡眠とDMNの相互作用

睡眠は脳の健康と機能において極めて重要な役割を果たしますが、DMNも例外ではありません。

DMNの活動は睡眠の異なる段階において変動し、これが脳の回復や情報処理に深く関与しています。

レム睡眠(REM Sleep)

この時期は夢を見ることが多く、脳が内省や自己参照的思考を活発に行っています。

レム睡眠中のDMNの活動は、創造的思考や問題解決に寄与すると考えられています。

特に、内側前頭前皮質(mPFC)と楔前部(Precuneus)の活動が顕著です。

ノンレム睡眠(NREM Sleep)

この時期は脳の休息と回復が主な役割を果たし、エピソード記憶の統合や情報の処理が行われます。

特に、深いノンレム睡眠(Slow-Wave Sleep, SWS)中は、脳全体の神経活動が抑制され、デフォルトモードネットワークも低活動状態になります。

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睡眠不足とDMNの機能不全

睡眠不足はDMNの機能に重大な影響を及ぼします。慢性的な睡眠不足は、DMNの調整に問題を引き起こし、以下のような影響が現れることがあります。

注意と集中力の低下

DMNの過活動は、外部の刺激からの注意を引き離し、注意や集中を維持することが難しくなります。

特に、後部帯状皮質(PCC)の過活動が、注意欠如や集中力の低下を引き起こします仕事でのミスや事故につながる可能性も考えられます。

情緒の不安定化

DMNの不調は、自己評価や感情の調整に影響を与えます。

内側前頭前皮質(mPFC)の機能不全は、うつ症状や不安感の増加に関連し、社会的な相互作用にも悪影響を及ぼすことがあります。

記憶の問題

DMNが関与する記憶の統合がうまく行われない場合、学習能力や情報の記憶保持に問題が生じます。

特に、楔前部(Precuneus)の機能低下は、エピソード記憶の再生に悪影響を及ぼします。

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良質な睡眠を確保するためのヒント

DMNの健康を維持するためには、良質な睡眠を確保することが不可欠です。

以下に、睡眠の質を向上させるためのいくつかの具体的な方法を紹介します。

規則正しい睡眠習慣

毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計(サーカディアンリズム)を整え、睡眠の質を向上させます。特に、就寝前の一定のルーティンを作ることが有効です。

睡眠環境の改善

快適な寝具を使用し、寝室を静かで暗く、涼しい環境に保つことが重要です。

また、電子機器の使用を避け、リラクゼーション音楽やアロマセラピーを活用することも効果的です。

リラクゼーション技術

瞑想や深呼吸、ヨガなどのリラクゼーション技術を活用して、睡眠前に心身をリラックスさせます。

これにより、入眠がスムーズになり、深い睡眠が得られやすくなります。

筋肉は硬いよりも柔らかい方が寝返りがしやすく、夜間の覚醒リスクも少なくなります。

まとめ

デフォルトモードネットワーク(DMN)は、脳の内省的な活動や自己参照的思考において重要な役割を果たしており、睡眠の質と量がその健康に直接影響を与えます。

良質な睡眠を確保することは、DMNの機能を維持し、全体的な脳の健康と日常のパフォーマンスを向上させるために欠かせません。

睡眠と脳科学の関係について理解を深め、日々の生活に取り入れることで、より健康で充実した生活を送ることができるでしょう。

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よくある質問とその回答

質問1: デフォルトモードネットワークの機能不全はどのように診断されますか?

デフォルトモードネットワーク(DMN)の機能不全は、主に機能的磁気共鳴画像法(fMRI)や脳波検査(EEG)を用いて診断されます。これらの画像診断技術は、脳の活動パターンを視覚化し、DMNの異常な活動や機能障害を特定するのに役立ちます。さらに、認知機能検査や心理評価を併用することで、DMNの機能不全が認知障害や感情障害にどのように影響しているかを評価します。

質問2: 睡眠不足がDMNに与える影響を軽減する方法はありますか?

睡眠不足の影響を軽減するためには、短期間の仮眠(パワーナップ)や定期的なリラックスセッション、適度な運動、そして認知行動療法(CBT-I)を用いた睡眠衛生の改善が効果的です。また、メラトニン補充や光療法を活用することで、サーカディアンリズムを整え、質の高い睡眠を促進することも有効です。

質問3: 睡眠薬はDMNの機能にどのような影響を与えますか?

睡眠薬は、主にベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の薬物が使用されます。これらの薬物は、GABA受容体を介して中枢神経系を抑制し、入眠を促進しますが、長期的な使用はDMNの正常な機能を妨げる可能性があります。特に、レム睡眠の抑制や睡眠構造の変化が生じることがあり、これがDMNの活動パターンに影響を与えることがあります。

質問4: 睡眠の質を向上させるために推奨される生活習慣は何ですか?

睡眠の質を向上させるためには、規則的な睡眠スケジュールの維持、就寝前のカフェインやアルコールの摂取制限、リラックスできる寝室環境の整備、就寝前のスクリーンタイムの削減、適度な運動、そしてメディテーションや深呼吸などのリラクゼーション技術の実践が推奨されます。これらの生活習慣改善は、睡眠の質を向上させ、DMNの健全な機能を維持するのに役立ちます。

質問5: DMNの活動が異常になるとどのような疾患が考えられますか?

DMNの活動が異常になると、うつ病、統合失調症、注意欠陥多動性障害(ADHD)、アルツハイマー病などの精神疾患や神経変性疾患が考えられます。これらの疾患は、DMNの異常な活動パターンや機能不全が関与しており、認知機能の低下や感情制御の問題を引き起こす可能性があります。診断と治療には、精神科医や神経科医による包括的な評価と適切な治療介入が必要です。

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引用文献

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  9. 健康づくりのための睡眠ガイド2023
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