この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。

国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。

ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。

本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。

寝返りには意味があるのか?

「ただの無意識な動き」ではない

寝返り(ターンオーバー)は、ただ寝ている間にゴロゴロ動いている現象ではありません。

作業療法士として多くの患者を診てきた私は、寝返りこそが「良質な睡眠」を支えるキーポイントであると断言できます。

実際に医療職向けの睡眠講座では、「寝返りの重要性」について、必ず語るようにしています。

その理由を、解剖学・生理学・作業療法の視点から詳しく解説していきます。

寝返りが必要な5つの理由

① 体圧分散で血流を保つ

人が仰向けで長時間同じ姿勢を続けると、仙骨部や肩甲骨、踵などに圧が集中します。

これは、褥瘡(床ずれ)の原因にもなります。寝返りはこの圧を全身に分散し、皮膚と筋肉への血流を確保してくれます。

② 関節や筋肉の拘縮を防ぐ

同じ姿勢を続けていると、筋膜や関節包が硬くなり、翌朝のこわばりや痛みに繋がります。

寝返りは、睡眠中でも自然と姿勢を調整し、拘縮や硬直を防ぐリハビリのような役割を果たします。

③ 自律神経のリセット

睡眠中は副交感神経が優位ですが、寝返りを打つタイミングで交感神経が軽く刺激され、これがレム・ノンレム睡眠の周期切替や体温調整に関与しているという研究もあります。

④ 呼吸をサポートする

仰向けでの睡眠は、舌根沈下による気道閉塞を引き起こすことがあります。

寝返りによって横向き寝やうつ伏せ姿勢に変わることで、呼吸がしやすくなり、無呼吸のリスクを軽減します。

⑤ 睡眠の質を高める

適切な寝返りがある人は、中途覚醒が少なく、熟睡感が高いというデータがあります。

反対に寝返りが少ない人は、同じ姿勢による不快感で浅い睡眠に陥るリスクが高まります。

起きる」の写真素材 | 630,176件の無料イラスト画像 | Adobe Stock

寝返りが少ない人の特徴とは?

  • 筋力・柔軟性の低下
  • 寝具(マットレス)が硬すぎるor柔らかすぎる
  • 肥満傾向にある
  • 不安やストレスによる緊張状態
  • 過度な疲労やアルコール摂取

これらの要素があると、寝返りの回数が著しく低下します。特にマットレスの質と筋骨格系の柔軟性は、寝返りに直結します。

睡眠オタクが語る「寝返りの正常回数」

研究では、成人の平均的な寝返り回数は一晩に20〜40回とされています。これを大きく下回る場合、「睡眠の質が低下しているサイン」かもしれません。

寝返りを増やすための実践対策

① マットレスを見直す

体圧分散性のあるマットレス(例:高反発ウレタン)は、寝返りしやすい環境をつくります。

② 日中の運動・ストレッチ

肩甲骨や股関節を中心に柔軟性を高める運動を日常に取り入れましょう。

③ 寝る前にリラックス

ストレスがあると筋緊張が高まり寝返りが減ります。深呼吸や音楽で副交感神経を優位に。

寝返りをサボるとどうなる?

  • 朝起きても疲れが残る
  • 肩こりや腰痛が悪化する
  • 眠りが浅くなる
  • 無呼吸やいびきが悪化する
  • 昼間の眠気・集中力低下が起こる

つまり、「寝返りを打てない」ことは、身体からのSOSとも言えるのです。

▼2026年!「お伊勢さん」特別企画!!▼

詳細は画像をクリック!
睡眠講演随時受付中▶詳細

\ 最新の記事をスワイプ👆⇒ /

【保存版】睡眠不足が引き起こした事故の真実|交通・医療・産業現場の事例と防ぐための科学的方法

睡眠不足は交通事故・医療ミス・産業災害など重大な事故の原因となります。本記事では有名事例や脳科学的メカニズム、社会的損失のデータを基に、日常でできる予防策までを作業療法士が徹底解説。安全と健康を守るために「眠り」の重要性を再発見できます。
Read More

三重・愛知・岐阜の経営支援|“動かしたいのに動けない”事業を動かす

三重・愛知・岐阜エリアで「新規事業を立ち上げたいが動き出せない」経営者へ。現場と経営をつなぐ“機能デザイン支援”で、構想を実行可能な仕組みに変える。人材育成×AI・健康経営・業務効率化まで一貫してサポートし、想いを動く力へ。事業の停滞を突破し、次のステージへ導きます。
Read More

新年を“整える”伊勢の特別体験|健康講座×ボディワーク×神宮参拝+赤福付き

三重・伊勢で開催する2026年限定の伊勢リトリート。医療専門職による健康講座や新年の身体を整えるボディワーク。ガイド付き神宮参拝を1日で体験。出来立ての赤福+朔日餅まで。名古屋・三重・岐阜から参加しやすく、心身を整えたい大人に最適の少人数プログラム。忙しさで疲れが抜けない人の新年の整え直しにも最適。
Read More

「どうせ報われない」心が折れるのは疲れのせいじゃない|学習性無力感と睡眠の深い関係

「どうせ報われない」と思ったときに心は折れる。これは心理学でいう学習性無力感と呼ばれる現象で、報酬系やストレス系の脳回路と深く関係しています。睡眠不足は無力感を悪化させ、十分な睡眠は心を再び立ち上がらせる力を持ちます。本記事では心理学・神経科学・睡眠科学のエビデンスを基に、心が折れる仕組みと回復法を解説します。
Read More

リハビリは訓練だけじゃない|自費リハの見直し“機能改善のデザイン”とは

リハビリは訓練だけでは十分ではありません。ケアやトレーニング、睡眠や食事など生活習慣を含めた“機能改善のデザイン”が大切です。本記事では、リハビリを受ける方や家族ができる具体的な習慣づくりから、保険外訪問パーソナルリハの活用まで徹底解説します。
Read More

浅間山荘事件から考える睡眠不足の恐怖|4時間睡眠が判断を狂わせる理由

1972年の浅間山荘事件は、日本犯罪史に残る大規模立てこもり事件。警察は「睡眠4時間未満で判断力が低下する」という心理学者の助言を活かし、音や光で犯人を追い込んだ。テレビ中継が国民の9割を釘付けにした歴史的事件をもとに、睡眠不足の科学的メカニズム、そして睡眠を守る実践戦略までを徹底解説します。
Read More

\ 石垣のInstagram /

まとめ:寝返りは睡眠の質を守る”無意識のセルフケア”

寝返りは、ただの無駄な動きではありません。

体のメンテナンス・血流確保・姿勢調整・呼吸確保を同時にこなす、極めて重要な生理現象です。

快眠を手に入れたいなら、まずは「寝返りをしやすい体」と「環境づくり」から見直しましょう。

おまけチェックテスト:「あなたの寝返り度」診断

質問
朝起きた時、同じ姿勢で目覚める
朝、肩や腰が痛いことがある
マットレスが柔らかすぎると感じる
日中ほとんど運動しない
冬は電気毛布や重い布団を使う

4点以上の人は要注意! 寝返りが打てていない可能性大。

快眠のために、今すぐ生活と寝具を見直そう!

▼気になる記事5選▼

\書籍はWEBで購入可/

\睡眠オタのYouTubeチャンネル/

\どんな活動してるの?/