「温泉やサウナ」と「運動」はどちらも体温を上昇させる手段ですが、その メカニズム、身体への影響、適応反応 には大きな違いがあります。
みなさんはどのように捉えていますか?
この記事では、それぞれの違いを 熱の発生メカニズム、熱放散の仕組み、自律神経系への影響、代謝への影響 などの観点から詳しく解説します。

目次
熱の発生メカニズムの違い
温泉・サウナ | 運動 | |
---|---|---|
熱源 | 外部熱(環境温度の上昇による伝導・対流・放射熱) | 内部熱(筋収縮による代謝熱産生) |
熱の伝達経路 | 皮膚からの熱吸収によって深部体温が上昇 | 筋活動によりATPが消費され、その副産物として熱が発生 |
エネルギー消費 | ほぼなし(安静時の基礎代謝に依存) | 高い(有酸素系・無酸素系のエネルギー代謝が活発化) |
解説
- 温泉やサウナ は 外部環境の温度上昇 によって熱を受動的に吸収するため、 エネルギーを使わずに体温が上昇 します。
- 運動 は 筋活動によるATP分解 によって 内部で熱を産生 するため、体温が上がると同時に エネルギー消費が増加 します。

熱放散の仕組みの違い
温泉・サウナ | 運動 | |
---|---|---|
熱放散の主要メカニズム | 皮膚血管の拡張による放熱、発汗 | 発汗による蒸発熱損失、皮膚血管拡張、対流・放射熱損失 |
発汗の特徴 | 受動的(外部温度に応じて発汗) | 能動的(代謝熱の増加に応じて発汗) |
熱放散の効率 | 高い(環境温度次第で熱の吸収と放散のバランスが決まる) | 体温上昇に応じて積極的に調整される |
解説
- 温泉・サウナ では 環境温度が高くなることで皮膚血管が拡張 し、体熱の放散が促進されます。ただし、 周囲温度が高すぎると熱放散が制限され、体温が上がり続ける ことがあります。
- 運動 では 筋肉が産生した熱が体内に蓄積するため、積極的に汗をかき、蒸発によって熱を逃がす 仕組みになっています。汗腺の活動が活発化するため、 発汗の質(ナトリウム濃度など)にも影響を与えます。

自律神経系への影響の違い
温泉・サウナ | 運動 | |
---|---|---|
交感神経の活動 | 低下(リラックス作用が優位) | 上昇(アクティブな状態に) |
副交感神経の活動 | 上昇(入浴後のリラクゼーション効果) | 運動後のクールダウン時に上昇 |
心拍数 | 一時的な上昇→低下(リラックス効果) | 運動強度に応じて上昇 |
解説
- 温泉やサウナ では、 短期的に交感神経が活性化し、血流が増加しますが、その後は副交感神経優位となりリラックス効果が得られます。そのため、 入浴後は眠気が強まる ことが多いです。
- 運動 では 交感神経が活性化し、心拍数や血圧が上昇 します。運動後のクールダウンにより副交感神経が優位になり、リラックス効果が得られますが、 高強度運動後は交感神経の興奮が持続することもあります。
代謝とホルモンの影響
温泉・サウナ | 運動 | |
---|---|---|
基礎代謝への影響 | 一時的な増加(血流増加によるもの) | 持続的な増加(筋肉量増加・エネルギー消費) |
ホルモン分泌 | βエンドルフィン(リラックス効果) | アドレナリン、成長ホルモン、コルチゾール |
血糖値への影響 | ほぼ変化なし | 低下(グリコーゲン消費・インスリン感受性向上) |
解説
- 温泉やサウナ では 血流増加による代謝亢進 はあるものの、運動ほど持続的な影響はありません。ただし、 サウナ後にはβエンドルフィンの分泌が増え、幸福感やストレス軽減効果が期待できます。
- 運動 は エネルギー消費が高く、筋肉の活動によって糖や脂肪が消費される ため、 インスリン感受性が向上し、糖尿病予防にもつながります。

睡眠への影響の違い
温泉・サウナ | 運動 | |
---|---|---|
入眠への影響 | ◎(深部体温が一時的に上昇し、その後の低下により眠気が促進) | 〇(適度な運動は入眠を促すが、高強度だと逆効果) |
深い睡眠(徐波睡眠)の増加 | △(リラックス効果により副交感神経が優位になるが、持続性は低い) | ◎(筋疲労の回復のため、成長ホルモン分泌が促され深い睡眠が増加) |
レム睡眠への影響 | 〇(リラックス効果で若干増加) | ◎(有酸素運動はレム睡眠を増加させる傾向) |
睡眠中の中途覚醒 | 〇(副交感神経優位で眠りが安定しやすい) | △(激しい運動後は交感神経が高まりすぎて中途覚醒しやすい) |
睡眠の質全体 | 〇(リラックス効果による入眠促進) | ◎(定期的な運動は総じて睡眠の質を向上させる) |
① 温泉・サウナ後の睡眠
- 深部体温が一時的に上昇し、その後低下することで眠気が促進される(睡眠生理学的には、夜間の深部体温の低下が睡眠の質向上に寄与)。
- 副交感神経が優位になりやすく、リラックス効果によって入眠しやすい。
- ただし、 体温が下がりきる前に寝ようとすると、暑さで寝つきにくくなる可能性がある ため、 就寝の1〜2時間前に入浴・サウナを終えるのが理想的。
② 運動後の睡眠
- 運動は 深部体温を上げるだけでなく、エネルギー消費により成長ホルモンの分泌を促進 し、深い睡眠(徐波睡眠)の割合を増やす。
- 有酸素運動(ウォーキングやジョギング)はレム睡眠を増加させ、睡眠の質を改善する とされる。
- ただし、 就寝直前の高強度運動は交感神経を過剰に刺激し、入眠を妨げる(心拍数・アドレナリン分泌増加の影響)。
どちらが睡眠に良いか?
目的 | 温泉・サウナ | 運動 |
---|---|---|
寝つきを良くする | ◎(就寝1〜2時間前の入浴が理想) | 〇(適度な運動なら効果あり) |
深い眠りを増やす | △(リラックス効果はあるが持続性は低い) | ◎(成長ホルモン分泌により深い眠りが増える) |
睡眠の質を長期的に向上 | 〇(リラックス習慣として有効) | ◎(定期的な運動が睡眠の質を改善) |
- 短期的に 寝つきを良くするなら「温泉・サウナ」
- 深い眠りや睡眠の質を長期的に向上させるなら「運動」
最も理想的なのは、 温泉・サウナでリラックスしつつ、日常的に適度な運動を行うこと。これにより、 深い睡眠とスムーズな入眠の両方を得ることができる。
睡眠の質を高めたい場合は、 温泉やサウナは「就寝の1~2時間前」、運動は「寝る3時間前まで」に済ませる のが理想的なタイミングとなる。

まとめ:どちらが適しているか?
目的 | 温泉・サウナ | 運動 |
---|---|---|
リラックス | ◎ | △(軽運動なら〇) |
体温上昇 | ◎(即効性あり) | 〇(持続的) |
エネルギー消費 | △(ほぼなし) | ◎(高い) |
基礎代謝向上 | △(短時間) | ◎(持続的) |
自律神経調整 | 副交感神経優位になりやすい | 交感神経が一時的に優位、その後副交感神経が優位 |
- 短時間で体温を上げてリラックスしたいなら「温泉・サウナ」
- 基礎代謝を上げ、持続的に温まりたいなら「運動」
また、 温泉やサウナの後に軽い運動(ストレッチやヨガ)を行うと、自律神経の調整がスムーズになり、深部体温の調節もうまくいきやすい ため、組み合わせるのも有効です。
私個人的には、どちらもデジタルデトックスできる時間となるため、現代生活の中でそのような時間をあえてつくるのは良い習慣になると感じております。

補足:睡眠との関連
- 温泉やサウナ後 は副交感神経が優位になり、深部体温が下がる過程で 入眠しやすくなる。
- 運動後 は交感神経が興奮しているため、 寝る直前の高強度運動は避けた方がよい。ただし、 日中の適度な運動は睡眠の質を向上させる。
温め方の目的に応じて、「温泉・サウナ」と「運動」を使い分けると、より効果的に健康管理ができるでしょう。
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