
この記事を書いたのは
睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。
医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。
本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。
目次
☕ 夜のコーヒー、それは“眠りの破壊者”だった
1日の終わりにホッとひと息。
その手にあるコーヒー、実はあなたの睡眠を破壊する一杯かもしれません。
「夜に飲んでも眠れるから大丈夫」
「寝る前の楽しみだからやめられない」
そんなあなたにこそ知ってほしい、“夜のカフェインの怖さ”を、睡眠オタクな作業療法士が徹底解説します。

🧠 カフェインが“眠気を止める”メカニズムとは?
カフェインは、脳内のアデノシン受容体(A1・A2A)に結合し、その働きをブロックします。
アデノシンとは、日中に溜まりながら「眠れ」という信号を送る物質。
これが働くと脳は自然と眠気を感じ、深いノンレム睡眠へと導かれます。
カフェインはこのアデノシンの信号を“なかったこと”にしてしまうのです。
📚 科学的エビデンス
- Fredholm et al. (1999)
カフェインはアデノシンA1・A2A受容体を競合的に遮断し、覚醒作用を示すと報告。
Pharmacological Reviews, 51(1), 83–133 - Huang et al. (2005)
アデノシンはノンレム睡眠の質を高める役割を持ち、カフェインはその働きを阻害する。
Current Neuropharmacology, 3(1), 31–36

⏳ “半減期”が睡眠に与える致命的な影響
カフェインが体内にとどまる時間をご存知ですか?
半減期は約5〜7時間とされています(個人差あり)。
条件 | 半減期の傾向 |
---|---|
健康な成人 | 約5〜7時間 |
妊娠後期 | 最大15時間以上 |
肝機能低下 | 延長傾向あり |
喫煙習慣あり | 短縮傾向 |
つまり、夜19時に飲んだコーヒーのカフェインは、深夜1時でも半分残っているということ。

💤 「寝ても疲れが取れない」正体
夜中に目が覚める、朝起きてもだるい、夢ばかり見る…
その原因、夜のカフェイン摂取による“浅い睡眠”かもしれません。
カフェインの影響で:
- ノンレム睡眠が短くなる
- 成長ホルモンの分泌が抑制される
- 自律神経が夜でも交感神経優位に
結果として、「寝たのに回復しない体」が作られていきます。
🔁 カフェイン中毒と“睡眠障害の悪循環”
- 寝ても疲れが取れない
- 昼間に眠気が強くなる
- カフェインを飲んで無理に目を覚ます
- 夜になっても眠気がこない
- また眠れず、さらにカフェインを求める
これがカフェイン依存による「睡眠障害ループ」です。
❌ 「私はカフェインに強いから」は幻想
「カフェインを飲んでも寝られるから平気」と思っていませんか?
実際には、脳波レベルでの深い眠り(徐波睡眠)は確実に減少しています。
つまり、本人の自覚がなくても“眠りの質”は確実に落ちているのです。

☕豆知識|「デカフェ」でも油断禁物!?
「デカフェ=カフェインゼロ」と思っていませんか?
実は、デカフェにもカフェインは含まれています。
たとえば、一般的なデカフェコーヒーには1杯あたり2〜6mgのカフェインが含まれることも。
(通常のコーヒーは1杯約80〜100mg)
つまり、「寝る前にデカフェだから安心♪」も油断大敵。
カフェインに敏感な人や不眠傾向のある人は、夜は完全ノンカフェイン(カモミールやルイボスなど)を選ぶのが正解です。
🧒 子どもにも広がる“カフェインの罠”
夜に親がコーヒーやカフェイン飲料を飲んでいると、子どもも真似しがちです。
エナジードリンクやチョコレート入りドリンクなど、意外なところにカフェインは潜んでいます。
子どもは体が小さく、影響が強く出やすいため注意が必要です。

✅ 今すぐやめるべき習慣と代替策
🔺やめるべきこと3
- 夜18時以降のカフェイン摂取(コーヒー・紅茶・緑茶・チョコ・コーラなど)
- 「寝る前の一杯」でコーヒーを選ぶ習慣
- 寝不足を“カフェイン”で乗り切ろうとする考え方
⬇代わりに取り入れたい4習慣
- ノンカフェインのルイボスティー、カモミールティー
- 就寝2時間前のストレッチや深呼吸
- 部屋の照明を電球色に切り替える
- 自律神経を整える“寝る前の5分ヨガ”

💬 睡眠オタクな作業療法士からのひとこと
私はこれまでたくさんの方の生活リズムの相談を受けてきました。
その中でも「夜のコーヒー」は、想像以上に多くの人の眠りを壊しています。
眠れない原因を探す前に、
まず“夜のカフェイン”をやめてみてください。
それだけで「眠れるようになった」「朝が変わった」という人が本当に多いのです。
あなたもぜひ、”眠りを守る選択”を、今日からはじめてください。
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