この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。

国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。

ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。

本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。

「休みの日くらい、10時間寝たい!」

「何時間でも寝られる体質になりたい!」

たくさん眠れるって、気持ちいいですよね。

でも実は――

人間の体は、必要以上には眠れないようにできているんです。

これは「気合」や「性格」の問題ではなく、体の仕組みそのものによるもの。

今回は、睡眠オタクな作業療法士が、そんな不思議な“眠りの上限”について、やさしく深掘りしていきます。

🧠 なぜ人は“それ以上眠れない”のか?

眠ることの目的は、主に以下の2つ。

  • 脳のメンテナンス(老廃物の除去)
  • 体の修復・再生(成長ホルモン・免疫の活性)

実はこれらは、ある程度の時間で“終わる作業”なんです。

たとえば、脳の老廃物を掃除する「グリンパティックシステム」は、主にノンレム睡眠中に働きます。

この働きはおおよそ7〜9時間で完了するとされていて、それ以上眠っても“効果が上がらない”んですね。

📝豆知識①:眠りのピークは最初の3時間

深いノンレム睡眠は、眠りはじめの3時間に集中しています。

つまりこの間で、脳も体もいちばん修復されているのです。

その後の睡眠は、主に夢(レム睡眠)や調整段階になります。

引用元:こども睡眠テキスト

💤 「寝すぎてしまう」のは例外的な状態

ときどき「10時間以上寝た」という方もいますが、それは以下のような背景がある場合です。

  • 平日の睡眠負債を返している
  • ストレス過多で脳がオーバーヒート
  • うつや過眠症、甲状腺の異常などの疾患

つまり、「寝すぎてしまう」のは体がサインを出している状態ともいえるのです。

📝豆知識②:動物は「必要な分しか眠らない」

動物も人間と同じく、必要な分だけ眠る本能を持っています。

たとえばキリンはたった2時間、ライオンは20時間眠るように、種ごとの役割と生存戦略に応じて眠る量が決まっているのです。

😵 「寝すぎるとだるい」の正体は?

「たくさん寝たのに、なぜかだるい…」

そんな経験、ありませんか?それには理由があります。

  • 長時間の横たわりで血流が低下
  • 寝ている間に血糖値が下がる
  • 呼吸が浅くなり酸素不足

つまり、「寝すぎてしまうこと」は、体にとってはストレスになることもあるんです。

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🛠️ 睡眠オタクな作業療法士からのアドバイス

  1. 朝スッキリ起きられるなら、それがあなたの最適な睡眠時間です
  2. 眠りの質を下げる行動(寝る前のスマホ、光、カフェインなど)を避けましょう
  3. 日中は太陽の光を浴びる・体を動かすことで、眠りのリズムを整えられます

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✅ まとめ

人間の眠りには“上限”があります。

たくさん寝ようとしても、それは「回復作業が完了した」という体からのサイン。

だからこそ、「眠れないこと」を無理に否定しなくて大丈夫

大切なのは、適切な時間に、深く、質の良い眠りをとることです。

必要以上に眠れないのは、あなたの体が正常に働いている証拠。無理に眠ろうとせず、「眠れる体づくり」に目を向けてみましょう。

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❓よくある質問(FAQ)

Q. 寝だめは本当に意味ないの?

米スタンフォード大学の研究では、「寝だめによって一時的に注意力や集中力は改善するが、体内時計はリセットされない」ことが報告されています。

つまり、睡眠負債の一部は返済できても、生活リズムは崩れたままなのです。

Q. いつも9〜10時間寝てしまう。病気?

アメリカ心臓協会の研究によると、「9時間以上の睡眠を毎日取る人は、死亡率が上がる」という報告があります。

これは、“長く眠ること”が原因ではなく、隠れた疾患(うつ病、代謝異常など)があるケースが多いためと考えられています。

心配な場合は一度、医療機関に相談を。

Q. 寝すぎで頭痛が出るのはなぜ?

睡眠過多による頭痛は、セロトニンの乱れや血糖の低下、自律神経のバランス崩壊が原因とされます(日本頭痛学会)。

特に、休日の「寝すぎ頭痛」は“週末頭痛”とも呼ばれ、生活リズムの急変が脳にストレスを与えることで起こります。

🧾 参考文献

  • National Sleep Foundation. (2015). Sleep Time Duration Recommendations
  • Tobaldini E. et al. (2017). “Sleep, Sleep Deprivation, Autonomic Nervous System and Cardiovascular Diseases.”
  • 日本頭痛学会(2022年改訂)
  • アメリカ心臓協会(AHA)2020年報告