ホテルだと眠れるのに家では眠れない本当の理由|睡眠環境と脳の仕組みを徹底解説!

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この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

医療現場で延べ3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、現在は三重県で「眠りのコツ研究所」と「Totonoe-整-」を運営しています。

国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。

ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。

本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。

「ホテルではぐっすり眠れるのに、家では眠れない…」その理由、科学で説明できます。

旅行先のホテルでは不思議とすっと眠れるのに、家では寝つきが悪く、夜中に目が覚めてしまう…。

そんな悩み、実はとても多くの人が抱えています。

結論から言えば、それは「環境」と「脳のスイッチ」の問題です。

この記事では、睡眠オタクな作業療法士が「ホテルと自宅の違い」と「眠りやすくなる空間づくりのコツ」を、科学と実体験をもとに徹底解説します。

ホテルでは眠れるのに家では眠れない7つの理由

1. 家では“脳が休めない”

家には仕事や家事、育児の“タスクの名残”があふれています。

洗濯物や書類、子どもの準備物が目に入るだけで、脳は「まだやることがある」と警戒を強めてしまいます。

この状態では副交感神経(リラックス系)が働かず、寝つきも悪く、眠りも浅くなりやすくなります。

2. ホテルは“睡眠のため”に設計されている

良いホテルは、以下のように眠りやすさが追求されています。

  • 室温は22〜24℃に自動調整(深部体温が下がりやすくなる)
  • 湿度は50〜60%で快適に保たれる
  • は直接当たらず、乾燥も起きにくい空調設計
  • 遮光カーテンでを99%以上カット
  • 壁・ドア・床の遮音性能が高く、外や隣室の音がほとんど聞こえない

つまり、五感すべてに“ノイズ”が少ない空間。これが深い眠りを後押ししてくれます。

3. 寝具の素材・質感がまるで違う

ホテルのシーツやパジャマは、綿100%やリネンなど吸湿性・通気性に優れた素材が使われています。

  • 汗を吸いやすく、蒸れにくい
  • 静電気が起きにくい
  • 触れた瞬間の“冷たさ”や“違和感”が少ない

一方、自宅では化学繊維(ポリエステルなど)を使った寝具が多く、知らないうちに「暑い・冷たい・チクチクする」などの小さな刺激が睡眠の質を下げている可能性があります。

4. 枕やマットレスが体に合っている

ホテルでは、「寝返りしやすく」「圧迫感が少ない」中硬質タイプのマットレスと、沈みすぎず支える枕が標準装備です。

一方、家庭では:

  • へたったマットレス
  • 高さや形の合わない枕
  • 子どものころからの寝具をそのまま使っている

など、体に合っていないもの古くて劣化したものを使い続けていることが多く、それが筋肉の緊張→寝返り不足→眠りの浅さへとつながります。

5. “非日常”が脳のリセットスイッチになる

脳は「いつもと違う場所」にいるだけで、状態を切り替えやすくなります。

ホテルのような非日常の空間では、「考えなくていい」「休んでいい」と自然に判断し、眠りのモードに入りやすくなるのです。

6. ホテルには“視覚ストレス”がない

ホテルの部屋はスッキリしていて、必要最低限のものしか置かれていません

これは「視覚ノイズ」が少ない状態で、脳がリラックスしやすくなります。

自宅では、目に見える“生活感”が脳の警戒心を刺激してしまうのです。

7. 香り・静けさ・空気まで計算されている

ホテルでは、静かな空調音、やさしいアロマの香り、ほどよい湿度・温度が保たれており、これらの環境要素が五感に安心感を与えます。

まさに「全身で安心できる空間」だからこそ、自然と眠れるのです。

フリー写真] ベッドのあるホテル内の風景でアハ体験 | GAHAG | 著作権フリー写真・イラスト素材集 - GAHAG | 著作権フリー写真・イラスト 素材集

家でもホテル並みに眠れる!快眠の7ステップ

1. 温度と湿度をコントロールする

理想は室温22〜24℃・湿度50〜60%。

夏はエアコン+加湿器、冬は暖房+加湿器で調整しましょう。

風が直接体に当たらないよう、風向きにも注意が必要です。

2. 照明は電球色(3000K以下)に

白い蛍光灯は脳を覚醒させます。

寝る前はオレンジっぽい電球色の間接照明に切り替えることで、メラトニンの分泌が促され、眠りやすくなります。

日の暮れとともに我が家は調整しておりまさ。

3. スマホは寝室に持ち込まない

ブルーライトは“眠りホルモン”を妨げ、通知は脳を興奮させます。

就寝1時間前にはスマホをリビングに置くか、通知をオフにしておきましょう。よ

夜のSNSはネガティブ原因になりますし、動画あっという間に時間が経過して睡眠時間を減らします。

くれぐれも寝っ転がってネットショッピングはやめましょう。

4. 寝具を“素材と形”の両面から見直す

  • シーツやパジャマは綿100%などの天然素材に
  • 枕は首のカーブや寝姿勢に合った高さと形に
  • マットレスは寝返りしやすい中反発のものを選ぶ

素材の選び方で、汗の処理・皮膚刺激・温度感覚が大きく変わります。

個人の好みや体格に合ってるかもポイントです!

5. 遮光カーテン or アイマスクを使う

光を感じるとメラトニン分泌はストップします。

夜の街灯や早朝の光を遮るために、遮光カーテンかアイマスクを使い、“完全な暗さ”を作るのがベストです。

真っ暗が怖い人は最小限の光にしましょう!

6. 音環境に工夫を

外の音や家族の生活音が気になる場合、ホワイトノイズや川のせせらぎ音を流しておくと脳が落ち着きます。

静かすぎるのが不安な人にも効果的です。

タイマーにして切れるといいですね。テレビなど人の声はオススメしません。

https://takayasu-ishigaki-ot.com/音で眠れない夜睡眠の質を妨げる環境音の正体/

7. アロマで「眠るモード」に入る

ラベンダー、ベルガモット、サンダルウッドなどは、リラックス効果が科学的に証明されています。
「この香り=眠る時間」と脳に条件づけることで、よりスムーズに入眠しやすくなります。

ビジネスホテルの部屋|フリー写真素材

よくある質問

Q. 狭くてホテルのように片付けられません。どうしたらいい?

全部を片付ける必要はありません。大事なのは“視界に入れない”工夫です。
例として、

  • 布をかけて棚の中身を隠す
  • 洗濯物をカゴにまとめ、カーテンで目隠し
  • 就寝時は天井を見て過ごすなど、視界を意図的に限定する

Figueiroら(2009)の研究では、高齢者施設で視覚刺激を減らした結果、睡眠の質が向上したという報告があります。

Q. 枕やマットレスを変えてもあまり眠れませんでした

寝具だけでなく、あなたの「体の使い方」や「筋緊張状態」も睡眠に大きく関わっています。

  • 肩こりや腰痛 → 就寝中の筋のこわばりで眠りが浅くなる
  • 歯ぎしり・食いしばり → 無意識の緊張が睡眠を妨げる
  • 寝返りが少ない → 血流悪化・熟睡感の低下

Edingerら(2005)の研究では、認知行動療法とともに身体的なアプローチが不眠症の改善に有効であることが示されています。

Q. なぜホテルだと自然に眠れるの?何が違うんですか?

ホテルは五感すべてにおいて「休んでいいよ」と脳に伝える要素がそろっています。

  • 視覚:生活感がない空間
  • 音:静寂または心地よい空調音
  • 光:暗さを保つ遮光
  • 空気:空調が一定、乾燥しすぎない
  • 香り:落ち着くアロマや無臭

Kimら(2011)の研究では、ストレスを感じにくい環境下ではコルチゾール(ストレスホルモン)が低下し、眠りの質が高まることが報告されています。

Q. アロマって本当に効果あるんですか?

アロマの香りは鼻から脳の「扁桃体(感情)」や「視床下部(自律神経)」に直接届きます。

  • ラベンダー:心拍数を下げ、入眠までの時間を短縮
  • ベルガモット:緊張や不安を緩和
  • サンダルウッド:副交感神経を優位にしてリラックス促進

これらの香りは、“眠りのスイッチ”として使えるツールです。

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まとめ|ホテルの眠りは、家でもつくれる

ホテルでぐっすり眠れるのは、あなたの眠りに「問題がない」証拠。

家で眠れないのは、“環境が整っていないだけ”です。

五感を安心させる工夫をすれば、家でもホテル並みの眠りは手に入ります。

眠れないのは才能の問題じゃない。

それは、ちょっとした設計と、脳のスイッチの使い方の問題なのです。

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参考文献

Spiegelhalder K, et al. Neuroimaging insights into insomnia. Curr Neurol Neurosci Rep. 2015.
Gooley JJ, et al. Exposure to room light before bedtime suppresses melatonin onset and shortens melatonin duration in humans. J Clin Endocrinol Metab. 2011.
Okamoto-Mizuno K, Mizuno K. Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm. J Physiol Anthropol. 2012.
Harvard Health Publishing. Blue light has a dark side. 2012.
Buxton OM, et al. Environmental noise and sleep disturbances: A threat to health?. Lancet. 2012.
Figueiro MG, et al. Light and sleep in older adults with and without Alzheimer’s disease. Lighting Research & Technology. 2009.
Edinger JD, Means MK. Cognitive-behavioral therapy for primary insomnia. Clin Psychol Rev. 2005.
Kim HG, et al. Effect of stress on the body. Journal of Lifestyle Medicine. 2011.

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