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深い睡眠が減る?──うたた寝の思わぬ落とし穴
夕方以降のうたた寝(仮眠)は、脳と体の一時的な休息にはなりますが、夜の本格的な睡眠にとってはマイナスに働くことがあります。
特に、ノンレム睡眠(とくに深い徐波睡眠:N3)の質と量に影響が出ることが、近年の研究でも明らかになっています。

① 睡眠圧の低下で深い眠りが減る
日中に覚醒していると、脳内にアデノシンなどの「眠気物質(睡眠圧)」が蓄積されます。
これが夜のノンレム睡眠を深くする鍵です。
しかし、夕方以降に仮眠をとると、この睡眠圧が中途半端に解消され、脳が「もうそんなに眠くない」と誤解してしまいます。その結果、夜のノンレム睡眠が浅くなり、脳や身体の回復力が低下してしまうのです。

② メラトニン分泌のリズムがズレる
通常、暗くなるとメラトニンという「眠りのホルモン」が分泌され、スムーズな入眠や深い眠りをサポートします。しかし、夕方にうたた寝をして活動時間が後ろ倒しになると、体内時計がズレてしまい、メラトニンの分泌タイミングにも乱れが生じます。
これにより、夜に「自然な眠気」が起こらず、ノンレム睡眠にしっかり入れないこともあるのです。
③ 覚醒後の活動時間が短くなり、体内時計が後ろにズレる
仮眠後に再び活動しても、すでに夕方~夜になっていると、「脳が夜になった」と認識しにくくなり、体内時計のズレが拡大します。
その結果、就寝が遅くなり、ノンレム睡眠の時間が不足する悪循環につながるのです。

ホルモンと睡眠圧の視点からみる「うたた寝の落とし穴」
加えて、覚醒と睡眠を切り替えるホルモン(メラトニンやコルチゾール)にズレが生じ、睡眠リズムが乱れやすくなります。
睡眠圧(ホームオスタティック機構)は、長時間起きているほど高まり、それに応じて深いノンレム睡眠が出現します。
夕方のうたた寝でこの圧が中途半端に下がると、「睡眠開始直後のN3睡眠(脳の最も深い休息)」が弱まります。
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対策: 夜間のノンレム睡眠を確保するために
- 夕方以降にうたた寝をしない。
- 日中にどうしても眠気が強い場合は、短時間のパワーナップ
- 規則的な睡眠習慣を心がけ、就寝時間と起床時間を一定に保つ。
- メラトニンの分泌を妨げないよう、夜は強い光を避ける。
- 寝る前のリラックス習慣を取り入れ、自然な眠気を誘う。
これらの対策を行うことで、夜間の深いノンレム睡眠を確保し、翌日の活動に十分なエネルギーを補充することが可能になります。
睡眠の質を下げない!正しいうたた寝のポイント
項目 | 推奨内容 |
---|---|
🕒 時間帯 | 午後1時〜3時まで |
⏱ 時間 | 15〜20分以内の「パワーナップ」 |
🛋 姿勢 | ソファや椅子で軽く座って仮眠(ベッドでの熟睡は避ける) |
⏰ アラーム | 起床時間を必ずセットして長時間化を防ぐ |

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まとめ: 夕方以降のうたた寝が夜のノンレム睡眠に与える影響
夕方以降のうたた寝では睡眠圧の低下やサーカディアンリズム(体内時計)の乱れが発生し、さらにメラトニン分泌の抑制や体温リズムの変動によって、夜のノンレム睡眠にスムーズに移行できなくなります。
結果として、深層睡眠(ノンレム睡眠の第3段階)に到達しにくくなり、脳や身体の十分な回復が妨げられます。
これにより、免疫機能の低下や疲労回復の妨げ、脳の老廃物が除去されないことで認知機能低下の恐れがあります。
夕方以降のうたた寝は、睡眠サイクルや睡眠の質に悪影響を及ぼすため、特に夜間の睡眠を妨げるリスクが高いことを理解しておくことが重要です。
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