どっちのリハビリがいいの?徒手療法VSロボット

徒手療法とは?

徒手療法(マニュアルセラピー)は、筋肉の緊張を和らげ、関節の動きを改善し、痛みを軽減することを目的とした治療法です。

脳卒中後のリハビリテーションにおいて徒手療法は、患者の運動機能を改善し、日常生活での自立を支援する重要な役割を果たします

脳卒中は、脳の血流が一時的または恒久的に遮断されることで起こり、これが身体の一部に麻痺や運動機能の障害を引き起こす可能性があります。

徒手療法を通じて、療法士はこれらの障害を軽減し、患者の機能回復を促進させることができます。

療法士向け徒手技術研修会の様子

脳卒中リハビリにおける徒手療法の主なアプローチ

  1. 神経筋再教育 – 脳卒中患者に対して特に有効なアプローチであり、失われた運動機能の回復を目指します。特定の運動やタスクを繰り返し行うことで、残っている健康な脳組織が損傷した部分の機能を代行できるように訓練します。
  2. 関節可動域の維持と改善 – 麻痺した手足は動かすことが少なくなりがちで、それにより関節の硬直や筋肉の短縮が生じることがあります。徒手療法を通じて関節の動きを促進し、筋肉の柔軟性を保つことが重要です。
  3. 筋力強化 – 麻痺していない側や、影響を受けたが完全には麻痺していない筋肉群の強化を目指します。これは、体のバランスを改善し、移動や日常生活活動(ADL)の自立を促進します。
  4. 感覚刺激 – 感覚障害も脳卒中の一般的な後遺症です。徒手療法は、療法士の手から伝える感覚情報(強さ・方向・タイミング・範囲)を用いて再教育し、感覚の識別能力を高めることができます。
  5. 姿勢調整-動作は姿勢の連続です。姿勢が崩れると動作が崩れ、転倒の原因となります。また脳卒中後遺症の方は不良姿勢が多く、疲れやすさや精神面の不安定さにもつながります。療法士の徒手を通して、効率的な姿勢を伝えることができます。

実践上の注意点

  • 個別の評価が重要:患者の現在の運動能力、麻痺の程度、感覚障害の有無などを詳細に評価することが不可欠です。
  • 目標設定:患者ごとに現実的かつ達成可能なリハビリテーションの目標を設定します。これには、日常生活での自立度の向上や特定の動作の改善が含まれます。また小さい目標を少しずつ達成していくことを推奨します。
  • 多職種連携:徒手療法は、言語療法士や作業療法士など様々なリハビリ専門家と連携することで、carry overを促進し、患者の包括的な回復を支援します。

脳卒中リハビリテーションにおける徒手療法の適用は、患者の回復プロセスにおいて極めて個別化されています。

治療計画は、患者の個別のニーズと目標に基づいて調整される必要があり、その進行は定期的な評価を通じて監視されるべきです。

療法士やリハビリテーションチームは、患者の進捗に応じて治療アプローチを微調整し、最大限の回復を促すための戦略を定期的に見直します。

成功への鍵

  • 患者の積極的な参加:リハビリプロセスでは、患者の積極的な参加が非常に重要です。動機づけを高めるために、治療目標を明確にし、患者が自身の進捗を理解できるよう支援することが重要です。
  • 家族との協力:家族の支援と理解は、患者がリハビリテーションプログラムに積極的に参加し続けるための鍵です。家族を治療プロセスに巻き込むことで、家庭での練習を促進し、リハビリの成果を最大化することができます。
  • 継続的なサポートとフォローアップ:リハビリテーションは長期的なプロセスであり、回復のためには時間が必要です。定期的なフォローアップと継続的なサポートは、患者が直面するかもしれない挑戦を克服し、長期的な目標に向かって前進するために不可欠です。

技術的な進歩と統合

最新のリハビリテーション技術や道具を徒手療法に統合することで、治療の効果をさらに高めることが可能です。

例えば、仮想現実(VR)を用いたトレーニングは、患者がよりエンゲージメントを感じるようなリアルなシナリオの中で練習を行うことを可能にします。

また、ロボット支援リハビリテーションは、繰り返しの精度と一貫性を高めることで、特定の運動パターンを再学習するのに役立ちます。

しかし、ロボットで個別の身体に適応した対応は現段階で難しいと感じています。動画で解説していますが、量やある一定のレベルを求めるのであれば適していると今感じています。

結論

脳卒中後のリハビリテーションにおける徒手療法は、患者の機能回復と生活の質の向上に大きく貢献します。

療法士やリハビリテーションチームによる個別化されたアプローチは、患者が可能な限りの自立を達成し、日常生活への復帰を目指すための基盤を提供します。

徒手療法は、患者が直面する身体的、心理的な挑戦を克服する手段として、その価値を証明し続けています。

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