産後にセックスレスになるのはなぜ?|睡眠不足・ホルモン・脳から読み解く本当の原因

この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

医療現場で延3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、「動きと休息のすゝめ」をベースに、現在は「Totonoe-整-」を運営しています。

国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。

ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。

本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。

「産後から夫に触られたくなくなった」

「妻から拒否されるようになった」

「夫婦仲は悪くないのにセックスだけなくなった」

「このまま一生レスなんじゃないかと不安になる」

こんな悩みを抱えている方は少なくありません。

実際、産後のセックスレスは非常によくあることです。

私の周りも実際に多いです。だから今回書きました。

しかし、ネットで調べると、

「夫婦で話し合いましょう」

「感謝を伝えましょう」

「スキンシップを増やしましょう」

という内容が多く出てきます。

もちろん大切です。

でも、私は睡眠を専門に見ている立場として、少し違う視点を持っています。

それは、

産後セックスレスは、愛情不足ではなく回復不足として考えるケースもあるのでは?

ということです。

なんでかというと、人は回復できていない状態では、人を受け入れる余白そのものがなくなるからです。

そういえば産後から、、、と思い当たる節があるかもしれません。

この記事では、

  • ホルモン
  • 睡眠不足
  • 脳の変化
  • 身体の回復
  • 夫婦関係

という視点から、産後セックスレスの原因をより深く考えていきます。

産後セックスレスは珍しいことではない

まず知っておいてほしいことがあります。

産後に性欲が落ちたり、性交痛があったり、夫婦生活の頻度が減ったりすることは、決して珍しいことではありません。

研究では、産後2〜3か月の女性の41〜83%に何らかの性機能の問題がみられ、産後6か月でも約64%に性機能低下がみられたと報告されています。

さらに、性交痛についても、産後2か月で約42%、産後2〜6か月で約43%、産後6〜12か月でも約22%にみられたという報告があります。

数字だけ見ると驚くかもしれません。

でも逆に言えば、

それだけ多くの女性が同じような悩みを抱えているということです。

「私だけおかしいのかな」

「妻だけが変わってしまったのかな」

そう考える必要はありません。

まず知ってほしいのは、

産後セックスレスは異常ではなく、産後という特殊な時期に起こりやすい現象だということです。

原因① ホルモンが劇的に変化する

出産後の女性の身体では、ホルモンが大きく変化します。

ここで関係しやすいのが、

  • エストロゲン(膣の潤い・肌・粘膜・女性らしい身体の状態に関わるホルモン)
  • プロラクチン(母乳を作るために働くホルモン)
  • オキシトシン(授乳や愛着、安心感に関わるホルモン)

です。

特に授乳中はプロラクチンが高くなります。

これは赤ちゃんを育てるためにはとても大切なホルモンです。

一方で、エストロゲンは低下しやすくなります。

すると、

  • 膣の乾燥
  • 性交痛
  • 性欲低下

が起こりやすくなります。

つまり、

「気持ちが冷めた」

というより、

身体がまだ“恋愛モード”ではなく、“育児・回復モード”に入っている

と考えた方が自然なケースも少なくありません。

原因② 睡眠不足が性欲を奪う

ここからが、私が最も伝えたい部分です。

産後の生活は、睡眠不足との戦いです。

夜泣き。

授乳。

寝かしつけ。

早朝覚醒。

細切れ睡眠。

まとまった睡眠を取ることが難しくなります。

すると何が起こるのでしょうか?

睡眠不足によって、

  • ドーパミン(やる気や快楽に関わる神経伝達物質)
  • テストステロン(性欲や活力に関わるホルモン)

が低下しやすくなります。

さらに、

  • 感情コントロール
  • ストレス耐性
  • 共感力

まで低下します。

つまり、

性欲以前の問題として、「何もしたくない」状態になってしまうのです。

私は3時間おきのミルクを体験したくらいですが、それでも分断睡眠は気持ちが滅入ります。

さて、質問です!

睡眠不足でフラフラの人に対して、

「もっと夫婦の時間を大切にしよう」

というのは、いかがでしょうか?

順番が違うんじゃないかって私は思います。

まず必要なのは、スキンシップの前に

夫婦関係の改善ではなく、「回復」です。

原因③ 脳が「母親モード」に切り替わる

産後は身体だけでなく、脳も変化します。

最近の研究では、出産後の女性の脳では、赤ちゃんの表情や泣き声に対する反応が高まり、母子の愛着形成に関わる領域が変化することが分かっています。

これは異常ではありません。

むしろ、人類が子どもを育てるために獲得してきた正常な反応です。

つまり産後は、

夫よりも赤ちゃん。

自分よりも赤ちゃん。

という状態になりやすい。

すると、

夫を見る視点も変わります。

恋人。

異性。

パートナー。

という見方から、

家族。

子どもの父親。

共同育児者。

という見方に変わることがあります。

もちろん個人差はあります。

ただ、

「昔みたいにドキドキしない」

「夫を見る目が変わった」

というのは決して珍しいことでないですよね。

原因④ 出産による身体のダメージ

これも忘れてはいけません。

出産は病気ではありません。

でも身体への負担は非常に大きい。

会陰切開。

会陰裂傷。

帝王切開。

骨盤底筋群への負担。

腹筋群の離開。

骨盤帯痛。

腰痛。

恥骨痛。

実際には全身が大きなダメージを受けてます。

例えば、足首を捻挫したら休む。骨折したら休む。

これは当たり前です。

しかし出産だけは、

大きなダメージを受けた直後から育児が始まります。

これって結構特殊だと思います。

性交痛がある。

傷が気になる。

怖い。

そう感じるのは自然な反応です。

気合いで解決する話ではありません!!

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実は夫側にも変化が起きている

産後セックスレスというと、

どうしても女性側の話になりがちだけど、

でも実際には男性側にも変化が起きています。

睡眠不足。

仕事と育児の両立。

責任感の増加。

ストレス。

将来への不安。

これらによって男性の性欲も低下することがあります。

また、

出産を目の当たりにしたことで、

妻を性的対象として見づらくなる人もいます。

これ実際に私の友達にもいます。

つまり、

産後セックスレスは、

夫が悪い。

妻が悪い。

という単純な話ではありません。

夫婦のどちらにも起こりうる問題なんです。

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セックスレスの本当の原因は「愛情不足」なのか

ここで大事なのが多くの場合、愛情がなくなったのではありません。

余裕がなくなったんです。

これを世の中のアホな男どもは勘違いしてる!

睡眠不足。

疲労。

ストレス。

身体の痛み。

ホルモン変化。

これらが積み重なった結果、

人を受け入れる余白がなくなっている。

その状態を、「愛情がなくなった」と解釈してしまうことがあるんです。と

どうせ自分の都合のいいようにしてるんではないでしょうか!?

Sleep Cascadeから考える産後セックスレス

私はこれまで、

Sleep Cascade(スリープカスケード)

という考え方を提唱してきました。

Sleep Cascadeとは、

小さな睡眠の乱れが、生活全体へ連鎖的な影響を及ぼすという考え方です。

産後セックスレスは、

まさにその1つの例だと思っています。

夜泣き

↓

睡眠不足

↓

疲労蓄積

↓

感情コントロール低下

↓

共感力低下

↓

会話減少

↓

スキンシップ減少

↓

セックスレス

突然起きたように見えて、

実はその前にたくさんの出来事が起きています。

だから私は、

セックスレスだけを切り離して考えることに違和感があります。

見るべきは、夫婦生活ではなく「生活全体」!

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産後セックスレスへの対策

では、どうしたらよいのでしょうか?

私はまず、

「セックスレスを解決しよう」

と考えすぎない方が良いと思っています。

なぜなら、結果だけを追うと苦しくなるからです。

まず見るべきは、

睡眠

少しでもまとまった睡眠時間を確保する。

交代制を作る。

祖父母や支援サービスを利用する。

昼寝を活用する。

回復

身体の痛みを放置しない。

骨盤底筋や身体機能を整える。

産後ケアを利用する。

会話

セックスの話ではなく、

まずはお互いの大変さを共有する。

スキンシップ

いきなり性生活を戻そうとしない。

手をつなぐ。

隣に座る。

ハグをする。

回復のためのマッサージをする

そうした小さな接触から始める。

これらの積み重ねが、結果として夫婦関係の改善につながることがあるのではないでしょうか?

なんにせよ。

昨日今日でなった問題ではないでしょう。

即解決なんて目指そうと単純に思わないことです。

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まとめ|産後セックスレスは愛情不足ではなく回復不足かもしれない

私は睡眠オタクとして、多くの方の睡眠や生活を見てきました。

その中で感じることがあります。

睡眠不足は、

集中力だけを奪うわけではありません。

感情を奪います。

優しさを奪います。

余裕を奪います。

そして時には、

夫婦の距離まで奪います。

だから私は、産後セックスレスを夫婦の問題だけで終わらせるつもりはないです。

もちろん、

話し合いも大切です。

思いやりも大切です。

でもその前に、

回復が必要なこともあります。

もっと仲良くすることではなく、

もっと休むこと。

もっと頑張ることではなく、

もっと回復すること。

産後セックスレスは、愛情不足ではなく回復不足。

私はそう考えています。

この記事を書いたのは

睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。

睡眠を、ただ「眠るための方法」としてではなく、毎日の生活や心身の状態、そして人生を楽しむための土台として伝えたい。そんな想いで、この記事を書いています。

作業療法士としての臨床経験と、睡眠に関する研究や知識をもとに、難しい内容もできる限り生活に落とし込んでお届けします。

睡眠を知ることで、自分の身体や暮らしを少し大切にしたくなる。そんなきっかけになれば嬉しいです。

この記事が、身近な方の睡眠や生活を見つめ直すきっかけになりそうだと感じたら、ぜひシェアしてください。

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睡眠の質を高めるために知っておきたい公的エビデンス

睡眠の質は「なんとなく良い・悪い」で判断するものではなく、科学的にも明確な指標や推奨が存在します。

例えば、厚生労働省では生活習慣や環境が睡眠に与える影響について詳しく解説されており、日中の活動量や光の使い方、就寝前の行動が睡眠の質を左右することが示されています( 厚生労働省 睡眠対策ページ)。

また、最新の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、適切な睡眠時間や生活リズムの整え方が具体的に示されており、特にスマートフォンの使用や夜間の光環境が睡眠に大きな影響を与えることが明記されています( 睡眠ガイド2023(厚生労働省))。

さらに、国立精神・神経医療研究センターのガイドラインでは、不眠や日中の眠気といった睡眠障害のメカニズムや対処法についても詳しく解説されており、医学的な視点からも睡眠の重要性が示されています( 睡眠障害ガイドライン(NCNP))。

国際的にも、WHO(世界保健機関)は睡眠を健康の重要な要素と位置づけ、身体活動や生活習慣と並ぶ「健康の柱」として推奨しています( WHO 睡眠に関するガイドライン)。

このように、睡眠は個人の感覚だけでなく、国内外の研究や公的機関によってその重要性が裏付けられています。

だからこそ「なんとなく」ではなく、根拠に基づいた習慣づくりが重要になります。

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