長距離ランナーがなぜ長時間眠るのか?その理由と睡眠不足がもたらすリスク

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長距離ランナーが非常によく眠ると言われるのは、体の回復にとって睡眠が欠かせないためです。

この記事では、科学的根拠に基づき、睡眠が長距離ランナーのパフォーマンスに与える影響について詳しく解説します。

睡眠がランナーに何をもたらすか?

1. 回復力の向上

長距離ランナーは毎日ハードなトレーニングをこなします。このため、体が回復するために十分な睡眠時間が必要です。

深い睡眠中には成長ホルモンの分泌が増加し、筋肉の修復や疲労の回復が促進されます(Van Cauter et al., 2000)。また、細胞の再生や炎症の軽減も深い睡眠の効果です。

2. パフォーマンス向上

十分な睡眠は、集中力、判断力、そして持久力を向上させることがわかっています。

Stanford大学の研究では、アスリートが1日10時間の睡眠を取った場合、スプリントタイムが改善し、疲労感が減少することが示されました(Mah et al., 2011)。

3. 精神的な安定

睡眠不足は、不安やストレスを増加させることが知られています。一方で、十分な睡眠を取ることで精神的な安定が得られ、試合前の緊張を軽減できます。

良質な睡眠は、自律神経のバランスを整え、不安やストレスを軽減することが示されています(Pilcher & Huffcutt, 1996)。

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睡眠不足のランナーに起きること

1. パフォーマンスの低下

睡眠不足は筋力や持久力の低下を引き起こし、トレーニングや競技での成果に悪影響を及ぼします。

睡眠不足は、グリコーゲン貯蔵量を減少させ、エネルギー供給が不足する原因となります(Reilly & Edwards, 2007)。

2. 怪我のリスク増加

回復が不十分な状態では、筋肉や関節に負担がかかりやすくなり、怪我のリスクが高まります。

慢性的な睡眠不足は、炎症性マーカーの増加を引き起こし、回復力を低下させることが報告されています(Haack & Mullington, 2005)。

3. 精神的ストレスの増加

睡眠不足は、集中力や判断力の低下を招き、試合やトレーニング中に誤った判断をしやすくなります。

慢性的な睡眠不足は、不安感や抑うつ症状を悪化させることが示されています(Baglioni et al., 2010)。

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ランナーが知るべき睡眠のポイント

1. 清潔な環境

ベッドルームの清潔化と暗幕化は、良質な睡眠を促進します。もちろん「季節に合った寝具」や「体格に適したパーソナライズ化された寝具」は深い睡眠をフォローし、パフォーマンスに影響を与える可能性は大きいでしょう。

静かで暗い環境は、睡眠の質を向上させる効果があります(Alimohammadi et al., 2013)。

2. 規則的なスケジュール

毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計が安定し、深い睡眠を得やすくなります。体内時計が不安定な状態は時差ぼけのような状態になります。

規則正しい生活習慣は、サーカディアンリズム(概日リズム)の正常化を助けます(Czeisler et al., 1981)。

3. 適切な栄養と水分補給

睡眠前の適切な栄養摂取と水分補給も、良質な睡眠をサポートします。

マグネシウムやトリプトファンを含む食品は、リラックスを促進する神経伝達物質セロトニンの生成に寄与します(Hudson et al., 2005)。

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ランナーの睡眠改善チェックリスト

  1. 睡眠時間は1日7-9時間を確保できていますか?
  2. ベッドルームは静かで暗く、快適な温度に保たれていますか?
  3. 毎日同じ時間に就寝・起床していますか?
  4. 睡眠前にカフェインやアルコールの摂取を控えていますか?
  5. 睡眠前にリラックスできるルーティンを取り入れていますか?

長距離ランナーが良い睡眠を取ることは、体の回復と競技の成功に不可欠です。

一方で、睡眠不足はパフォーマンスの低下や怪我のリスク増加を招きます

これらのポイントを意識し、質の高い睡眠を心がけましょう。

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参考文献

  • Van Cauter, E., et al. (2000). Growth hormone secretion: Sleep and sleep deprivation effects. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism.
  • Mah, C. D., et al. (2011). Effects of sleep extension on the athletic performance of collegiate basketball players. Sleep.
  • Pilcher, J. J., & Huffcutt, A. I. (1996). Effects of sleep deprivation on performance: A meta-analysis. Sleep.
  • Alimohammadi, I., et al. (2013). Environmental factors and their effects on sleep quality. Sleep Science.
  • Czeisler, C. A., et al. (1981). Stability, precision, and near-24-hour period of the human circadian pacemaker. Science.
  • Hudson, C., et al. (2005). Nutritional influences on serotonin production and mood. Nutrition Reviews.
  • Reilly, T., & Edwards, B. (2007). Altered sleep-wake cycles and physical performance in athletes. Physiology & Behavior.
  • Haack, M., & Mullington, J. M. (2005). Sustained sleep restriction reduces emotional and physical well-being. Sleep.
  • Baglioni, C., et al. (2010). Insomnia as a predictor of depression: A meta-analytic evaluation of longitudinal epidemiological studies. Journal of Affective Disorders.
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