
この記事を書いたのは
睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。
医療現場で延3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、「動きと休息のすゝめ」をベースに、現在は「Totonoe-整-」を運営しています。
国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。
ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。
本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。
「子どもって、何歳から枕を使えばいいんですか?」
これ、親御さんからすると結構気になりますよね。
3歳?
5歳?
小学生になったら?
大人は枕を使っているのに、子どもは「まだ枕はいりません」と言われる。
でも、寝ている子どもをよく見ると、首の後ろには隙間があります。
横向きになれば、肩と頭の間にも高低差があります。
そうなると、
「隙間があるなら、枕で埋めた方がいいんじゃないの?」
と思いませんか?
先に結論から言うと、
子どもにも身体と寝具の間の隙間はあります。
ただし、
隙間がある=すぐ枕が必要
ではない。と私は考えてます。
大事なのは、
その隙間を、枕で支持する必要が出てきているか。
ここです。
そして、その判断を「○歳」という年齢だけでするのではなく、
身体の発達と実際の寝姿勢から考えてみる。
今回はここを少し専門的に、でも親御さんにも分かるように整理してみます。

結論|子供の枕は「何歳から」ではなく、身体の発達と寝姿勢で考える
まず答えをシンプルにまとめます。
1歳未満の乳児では、枕を使わず、安全な睡眠環境を優先します。
こども家庭庁は1歳未満について、身体が沈み込まない硬めで平坦な寝具を使い、寝床にはタオルやぬいぐるみなどを置かず、シンプルな睡眠環境にすることを推奨しています。
では、1歳を過ぎたらどうでしょうか。
ここから「○歳になったから枕」と決められる、明確な科学的基準があるわけではないです。
私は、
「何歳になったか」ではなく、「身体の成長によって寝具だけでは頭と身体の高低差を処理しにくくなってきたか」
を見た方がいいと考えています。
これがこの記事で一番伝えたいことです。
なので、こっから読んでください!
なぜ小さい子供には枕が必要ないと言われるのか?
子どもの身体は、単純に「小さい大人」ではありません。
特に乳児や小さな子どもには、
- 頭が身体に対して相対的に大きい
- 後頭部が大きい
- 首が短い
- 肩幅がまだ小さい
という「特徴」があります。
小児の身体構造を考えると、成人と同じように「頭の下に高さを足せばいい」と単純には考えられないんですよね。
特に小さい子どもでは、後頭部そのものが相対的に大きいため、仰向けになった時点ですでに頭部に高さがあります。
そこへさらに高い枕を入れれば、かえって頭が持ち上がりすぎて、首が曲がる可能性があります。
つまり、小さい子どもでは、
「頭の下に高さを作らなければ首を支えられない」という身体では、まだないことがある。
ここが大人との大きな違いです。
でも、子供にも首の下に隙間はある
ここで疑問が出ます。
「でも、首の下には隙間がありますよね?」
あります。
ここは曖昧にしない方がいいと思っています。
隙間があるところは寝具と接触していないので、その部分は直接支持されていません。
支持面積だけ考えれば、当然少なくなっています。
ただ、
直接支持されていない場所があることと、そこを全部埋める必要があることは別です。
後頭部や胸郭など周囲の部分によって身体全体が安定し、
- 頭頸部の位置が大きく崩れない
- 局所的な負担が大きくならない
- 呼吸を邪魔しない
- 寝返りを邪魔しない
のであれば、隙間を完全に埋める必要はないと私は考えます。
だから、私はこう説明するのが一番分かりやすいと思っています。
子どもにも隙間はある。
ただ、その非支持部を枕で支持する必要性がまだ小さい。
「隙間があるかどうか」だけでなく、その隙間が身体にどんな影響を与えているかを見る必要があるっちゅうことです。
子供が成長すると「頭」より「肩」が大きく変わってくる
ここからが人らしく発達していくことで面白いと思うのですが。
日本人の子どもの身体寸法データを見ると、成長に伴って頭の横幅も少しずつ大きくなります。
ただ、それ以上に大きく変化するのが肩幅です。
例えば日本人男児の平均的な身体寸法では、おおよそ次のような変化があります。
| 年齢 | 頭幅 | 肩幅 |
|---|---|---|
| 3歳 | 約14.1cm | 約21.1cm |
| 5歳 | 約14.6cm | 約24.0cm |
| 7歳 | 約14.8cm | 約26.6cm |
| 9歳 | 約14.8cm | 約28.7cm |
| 10歳以上の平均 | 約15.0cm | 約30.6cm |
これを見ると分かりやすいですよね。
頭の横幅はそれほど大きく変わっていないのに、肩はどんどん外へ広がっていく。
これが、子どもの枕を考えるうえでかなり重要だと思っています。
横向きになると、成長によって「頭と肩の高低差」が大きくなる
少し単純化して考えてみましょう。
横向きになった身体を正面から見て、
肩幅 − 頭幅
を計算すると、「肩が頭よりどれくらい外側に張り出しているか」が分かります。
さらに片側だけを考えるなら、
(肩幅 − 頭幅)÷2
です。
これは実際の「枕の高さ」ではありません。
ただ、身体形状としてどれくらい高低差が生まれ得るのかを見る参考値にはなります。
日本人小児の平均的な身体寸法から単純計算すると、おおよそこうなります。
| 年齢の目安 | 男児 | 女児 |
|---|---|---|
| 3歳 | 約3.5cm | 約3.6cm |
| 5歳 | 約4.7cm | 約4.9cm |
| 7歳 | 約5.9cm | 約6.1cm |
| 9歳 | 約6.9cm | 約7.0cm |
| 10歳以上の平均 | 約7.8cm | 約8.0cm |
これ、結構面白くないですか?
3歳では約3〜4cmだった身体形状上の差が、成長すると7〜8cm近くまで広がっていきます。
つまり、
子どもは「頭が大きくなるから枕が必要になる」のではなく、肩が発達して頭との高低差が大きくなることで、枕による支持の意味が少しずつ大きくなる。
こう考えることができます。

睡眠講演随時受付中
注意|「7歳なら6cmの枕」という意味ではない
ここは絶対に間違えないでください。
先ほどの数字は、
必要な枕の高さではありません。
実際に横向きになると、
- 肩がマットレスへ沈む
- 上腕の位置が変わる
- 肩甲骨が動く
- 胸郭も沈む
- マットレスの硬さによって沈み込み量が変わる
- 頭部も枕へ沈む
からです。
つまり、
(肩幅 − 頭幅)÷2 = 必要な枕の高さ
ではないんですよー
この数字はあくまで、
「成長すると、身体形状としてこれくらい頭と肩の差が広がっていく」
と理解するための目安です。
ここを「○歳だから○cmの枕」と変換してしまうと、一気に話がおかしくなります。
では、子供の枕は何歳から考えればいい?
私は、年齢を「枕を使い始める基準」ではなく、身体を確認するタイミングとして使うと分かりやすいと思っています。
0〜1歳未満|枕より安全性
この時期は「隙間をどう埋めるか」を考える時期ではありません。
安全な睡眠環境が最優先です。
いいですか?
「命」これ以上大切なもんはないですよね?
身体が沈み込みすぎない平坦な寝具を使用し、周囲に枕やクッション、タオルなどを置かない。
まずはここが土台になります。
2〜5歳頃|「隙間があるから枕」はまだ考えなくていい
この時期にも首や肩の周囲に隙間はあります。
でも、
隙間があることだけを理由に高さを足す必要はありません。
まだ頭が身体に対して相対的に大きく、肩幅も成人ほど発達していないからです。
見るなら「枕があるか」ではなく、
枕なしの状態で、頭・首・体幹がどうなっているか。
ここです。
3〜5歳頃の平均的な身体寸法では、横向き時の身体形状上の高低差は約3〜5cm程度あります。
それでも、その差がそのまま枕の高さになるわけではありません。
肩や胸郭の沈み込みも含め、寝具全体で高低差を処理できている子も多い時期です。
6〜8歳頃|一度「横向き」を見てみる
この頃になると、肩幅が少しずつ大きくなり、頭との幅の差も目立つようになります。
7歳前後では、平均的な身体寸法から計算した片側の身体形状上の差は約6cmになります。
だから、
「7歳になったから枕を買う」ではなく、「7歳くらいになったら一度寝姿勢を見てみる」
くらいがちょうどいいと思います。
特に見てほしいのは横向きです。
肩が寝具との間に入り、頭がマットレス側へ大きく落ちていないか。
ここが一つの判断材料になります。
9〜10歳以降|身体に合わせた支持を考え始める
9〜10歳頃になると、肩と頭の幅の差はさらに大きくなってきます。
平均的な身体寸法では、身体形状上の片側の差は7cm前後、10歳以上の平均では8cm前後になります。
もちろん、これは必要な枕の高さではないです。
ただ、身体の成長によって「寝具だけでは高低差を処理しにくい子が出てくる」ことはイメージしやすくなります。
ここまで成長してきたら、年齢よりも実際の寝姿勢をしっかり見てあげたいところですね。

家庭でできる「子供に枕が必要か」3つのチェック
難しく考えなくても大丈夫です。
子どもが眠っているとき、一度見てみてください。
1.横向きで頭が下へ落ちていないか
私はここを一番見てほしいです。
子どもの頭側、あるいは足側から身体を見てみます。
頭―首―胸郭が大きく「くの字」になっていないか。
肩幅が大きくなってくると、横向きでは肩が寝具との間に入ります。
その高低差を寝具だけで処理できなくなると、枕なしでは頭がマットレス側へ傾きやすくなります。
ここが明らかになってきたら、
「そろそろ高低差を補う必要があるかもしれない」
と考える一つのサインです。
2.自分で頭の下に何かを入れていないか
こんな寝方をしていませんか?
- 手を頭の下へ入れる
- 腕を枕のようにする
- 布団を頭の下へ集める
- クッションなどへ頭を乗せたがる
これだけで「枕が必要」とは言えません。
ただ、何度も同じことをするなら、
子ども自身が高さや支持を作っている可能性
は考えてもいいと思います。
身体って、結構正直なんですよね。
3.枕を入れたら逆に姿勢が崩れていないか
「枕を使っているから安心」でもありません。
高すぎれば、仰向けでは頭が持ち上がり、首が曲がりすぎる可能性があります。
横向きでも、高すぎれば今度は頭が反対側へ傾きます。
だから大切なのは、
枕を使っているかどうかではなく、使った結果として身体がどうなっているか。
です。
\よく読まれるノート/
マットレスが変われば、必要な枕の高さも変わる
ここも忘れないでほしいところです。
例えば同じ子どもでも、硬めのマットレスでは肩があまり沈みません。
すると横向きでは、肩から頭までの高低差が大きく残ります。
一方、柔らかいマットレスでは肩や胸郭が沈みます。
すると、頭との高低差は小さくなります。
つまり、
枕だけを身体に合わせてもダメなんです。
考えたいのは、
身体 × 寝姿勢 × 寝具(枕 やマットレス)
この組み合わせです。
同じ子どもでも、寝具が変われば適切な枕の高さも変わります。
だから私は寝具を見るとき、「枕だけ」「マットレスだけ」で考えないようにしてます。
▼よく読まれる記事▼
「隙間を埋める」という言葉も、少し丁寧に考えたい
寝姿勢では、
身体と寝具との隙間を適切に補うこと
は大切です。
ただし、
隙間を全部埋めることが目的ではないです。
私がより正確に言うなら、
寝具だけでは支えきれない身体の凹凸や高低差を、必要な分だけ補う。
です。
子どもにも隙間はあります。
ただ小さい頃は、
その非支持部を枕で支持しなくても、身体全体として寝姿勢が成立している。
ところが成長すると肩幅や胸郭が発達して、頭と身体との高低差が大きくなります。
すると、これまで寝具だけで処理できていた高低差を、徐々に処理しにくくなってくる。
そこで初めて、
「この子には、どれくらい枕で補った方がいいんだろう?」
という話になってくる。
私はこの順番で考えるのが自然だと思っています。
\最新の臨床ノート/
子供の枕についてよくある質問
3歳の子供に枕は必要?
3歳になったことだけを理由に、枕を使う必要はありません。
3歳頃でも身体と寝具の間には隙間がありますし、横向きでは頭と肩の高低差も存在します。
ただ、その非支持部を枕で補わなければ寝姿勢が崩れるほどなのかは、その子によって違います。
年齢ではなく、実際の寝姿勢を見ることが大切です。
4歳・5歳なら枕を使った方がいい?
4歳・5歳でも「必ず必要」とは言えません。
枕なしで頭・首・体幹が大きく崩れていなければ、年齢だけを理由に高さを加える必要はないでしょう。
一方で、横向きで明らかに頭が下がる場合には、少しずつ支持を考える余地があります。
小学生になったら枕は必要?
「小学生=枕」でもありません。
ただ、6〜10歳頃は肩幅が大きく発達し、頭との身体寸法上の差も広がっていきます。
だから小学生になったら、
枕を買うのではなく、まず寝姿勢を確認する。
私はそこからでいいと思います。
子供が枕なしで寝ていても大丈夫?
「枕なし」という状態そのものが問題なのではありません。
大切なのは、
枕なしで寝た結果として、頭・首・体幹がどうなっているか。
です。
姿勢が大きく崩れていないのであれば、枕を使っていないことだけを問題にする必要はありません。
子供が横向きで寝る場合は枕が必要?
横向きは、枕の必要性を確認しやすい姿勢です。
成長して肩幅が大きくなるほど、肩から頭までの高低差も大きくなります。
横向きになったときに、頭がマットレス側へ大きく傾いているなら、枕で高さを補う意味が出てきている可能性があります。
ただし、その高さは肩幅だけでは決まりません。
マットレスへの肩の沈み込みまで含めて考える必要があります。
大人用の枕を子供が使ってもいい?
大人用の枕は、子どもにとって高さや大きさが過剰になる可能性があります。
親と同じ枕を使いたがる気持ちは分かりますが、
大人に合う高さが、子どもにも合うとは限りません。
そもそも身体の大きさだけではなく、頭と肩の割合が違うからです。
\過去の講演活動など/

プロフィールはこちら
子供の枕で大切なのは「何歳?」ではなく「なぜ必要?」
「子供の枕は何歳から?」
と聞かれたら、私は、
「何歳かより、身体を一度見てみましょう」
と答えたいです。
小さな子どもにも隙間はあります。
でも、
隙間があるから枕が必要なのではありません。
子どもの成長によって肩幅や胸郭が発達し、頭と身体との高低差が大きくなる。
その結果、
これまで寝具だけで処理できていた高低差を、処理しにくくなってきたとき。
そこで枕による支持の意味が出てきます。
だから、
「隙間ができたら枕」ではなく、
「その隙間によって寝姿勢が崩れ始めたら、枕を考える」。
この方が、子どもの身体をちゃんと見た考え方だと思います。
枕は年齢で与えるものではなく、
成長する身体に合わせて、必要になった支持を補うもの。
子どもの寝顔を見るとき、枕があるかないかではなく、一度「頭と肩の位置」を見てみてください。
今までとは少し違って見えてくると思います。

この記事を書いたのは
睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。
睡眠を、ただ「眠るための方法」としてではなく、毎日の生活や心身の状態、そして人生を楽しむための土台として伝えたい。そんな想いで、この記事を書いています。
作業療法士としての臨床経験と、睡眠に関する研究や知識をもとに、難しい内容もできる限り生活に落とし込んでお届けします。
睡眠を知ることで、自分の身体や暮らしを少し大切にしたくなる。そんなきっかけになれば嬉しいです。
この記事が、身近な方の睡眠や生活を見つめ直すきっかけになりそうだと感じたら、ぜひシェアしてください。
\過去の講演情報など/

\気になるワードを入れて検索/
睡眠の質を高めるために知っておきたい公的エビデンス
睡眠の質は「なんとなく良い・悪い」で判断するものではなく、科学的にも明確な指標や推奨が存在します。
例えば、厚生労働省では生活習慣や環境が睡眠に与える影響について詳しく解説されており、日中の活動量や光の使い方、就寝前の行動が睡眠の質を左右することが示されています( 厚生労働省 睡眠対策ページ)。
また、最新の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、適切な睡眠時間や生活リズムの整え方が具体的に示されており、特にスマートフォンの使用や夜間の光環境が睡眠に大きな影響を与えることが明記されています( 睡眠ガイド2023(厚生労働省))。
さらに、国立精神・神経医療研究センターのガイドラインでは、不眠や日中の眠気といった睡眠障害のメカニズムや対処法についても詳しく解説されており、医学的な視点からも睡眠の重要性が示されています( 睡眠障害ガイドライン(NCNP))。
国際的にも、WHO(世界保健機関)は睡眠を健康の重要な要素と位置づけ、身体活動や生活習慣と並ぶ「健康の柱」として推奨しています( WHO 睡眠に関するガイドライン)。
このように、睡眠は個人の感覚だけでなく、国内外の研究や公的機関によってその重要性が裏付けられています。
だからこそ「なんとなく」ではなく、根拠に基づいた習慣づくりが重要になります。
▼オススメ臨床ノート▼



