
この記事を書いたのは
睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。
医療現場で延3万人以上の睡眠と身体の悩みに向き合い、「動きと休息のすゝめ」をベースに、現在は「Totonoe-整-」を運営しています。
国家資格である作業療法士として、姿勢や動作の専門知識をもとに、科学的かつ実践的な睡眠改善を提案しています。専門職の育成や技術指導にも携わっています。
ブログ以外にも、書籍出版や講演、教育機関での授業など、睡眠のことをお伝えしています。
本ブログでは、医学的根拠と臨床経験に基づいた“リアルに使える睡眠情報”を、誰にでもわかりやすく、かつ深掘りしてお届けしています。
「なんか最近、鼻くそがよく溜まるんですよね」
……いや、急に何の話?と思うかもしれません(笑)
でも、睡眠を考えていると、こういう一見どうでもよさそうな身体の変化が、私は結構気になるんです。
鼻くそが溜まりやすい。
朝起きると鼻の中がカピカピしている。
鼻を触りたくなる。
片方の鼻が詰まっている気がする。
そして、
朝起きたら口が乾いている。
もし、こんなことが重なっているのであれば、「鼻くそ」だけの問題として終わらせない方がいいかもしれません。
なぜなら鼻の中の状態は、
睡眠中に鼻で呼吸できているのか?
を考える一つのヒントになるからです。
今回は睡眠オタクな作業療法士として、かなりニッチですが、
「鼻くそ×睡眠」
について真面目に考えてみます。
(こういうテーマ、大好きなんですよねー)

そもそも鼻くそって何?
ものすごく簡単に言えば、鼻くそは鼻水や鼻腔内の分泌物が乾燥し、そこにホコリなどが混ざって固まったものです。
そもそも鼻水は邪魔者ではありません。
鼻の中の粘膜を潤し、吸い込んだホコリや異物などを捕まえ、気道を守る役割があります。
つまり鼻は単なる「空気の入口」ではなく、
吸い込む空気を整える場所
でもあるんです。
ところが鼻腔内が乾燥すると、分泌物は乾いて固まりやすくなります。医学的にも鼻腔の乾燥では「crusting(痂皮形成)」と呼ばれる、カサブタ状の付着物がみられることがあります。
だから、
鼻くそが多い=汚い
という話ではないんですよ。
大切なのは、
「なぜ、乾いて固まりやすくなっているのか?」
です。
鼻くそが溜まりやすくなる理由
原因は一つではありません。
たとえば、
- 空気が乾燥している
- エアコンや暖房を長時間使っている
- 鼻炎がある
- 鼻水が多い
- 鼻を頻繁にかむ
- 鼻を触る癖がある
- 鼻づまりがある
- 鼻腔内に炎症がある
など、さまざまです。
乾燥した環境では鼻粘膜も乾燥しやすく、粘液が固まり、鼻腔内に付着しやすくなります。
また、アレルギー性鼻炎などで鼻水が増えている人の場合、
「分泌物が多い+乾燥する」
ことで鼻くそが増えている可能性もあります。
ここで私が睡眠を見るときに気になるのが、
鼻くそそのものより、その奥にある「鼻の通り」です。
鼻くそが多いと睡眠が悪くなるの?
ここは誤解しないようにしてください。
「鼻くそが多いから睡眠の質が悪くなる」とまでは言えません。
鼻くその量だけで、睡眠の状態を判断することもできません。
ただ、
鼻腔の乾燥
↓
粘液が固まる
↓
鼻の違和感・鼻閉感
↓
鼻呼吸しにくい
↓
睡眠中に口呼吸しやすくなる
という流れは考えられます。
さらに、そもそも鼻くそが増えている背景に鼻炎や慢性的な鼻づまりが存在するのであれば、話は変わってきます。
アレルギー性鼻炎は成人・子どもの睡眠障害と関連し、その機序の一つとして鼻閉が重要だと考えられています。
また、アレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症など鼻の病気への治療によって、主観的な睡眠の質が改善したことを示した研究もあります。
ここなんですよ。
睡眠というと、
「何時間寝ましたか?」
「スマホを寝る前に見ていませんか?」
「カフェイン飲んでいませんか?」
みたいな話になりやすい。
もちろん全部大事です。
でも、
そもそも寝ている7時間、ちゃんと空気を吸える身体環境になっているのか?
ここも見ないといけないんです。
\よく読まれるノート/
鼻が通らなければ、身体は口を使う
私たちは基本的に鼻を使って呼吸しています。
しかし鼻の抵抗が大きくなれば、身体は空気を取り込むために口呼吸へ移行しやすくなります。
鼻閉は、夜間の口呼吸やいびきと関連することが指摘されています。
ここで重要なのは、
「口呼吸が悪いから口を閉じればいい」
という単純な話ではないことです。
(ここ、結構大事です)
鼻が通っていないのに、無理やり口だけ閉じても仕方ありません。
まず考えたいのは、
なぜ鼻呼吸がしにくくなっているのか?
です。
鼻炎なのか。
乾燥なのか。
鼻中隔など構造的な問題なのか。
一時的な風邪なのか。
それとも別の原因なのか。
睡眠中の呼吸を見るなら、入口である鼻から見ていく。
私はこれは結構大切な視点だと思っています。
「朝の鼻くそ」は寝室環境を教えてくれるかもしれない
もう一つ面白いのがここです。
日中はそれほど気にならないのに、
朝だけ鼻の中が乾いている。
という人がいます。
この場合、少なくとも
睡眠中の数時間に何が起きていたのか?
を考えてみてもいい。
たとえば寝室がかなり乾燥している。
エアコンの風が顔周囲に当たっている。
鼻炎によって鼻が詰まっている。
口呼吸になっている。
こうした状況が複数重なっている可能性があります。
もちろん、朝に鼻くそが多いという事実だけから「あなたは口呼吸です」と診断することはできません。
ただ、
身体から出ている小さなサインとして見る。
これはアリだと思うんです。
睡眠って、脳波や睡眠時間だけではありません。
寝室もある。
寝具もある。
姿勢もある。
鼻もある。
口もある。
舌もある。
気道もある。
だから面白いんですよ。
鼻くそが溜まりやすい人が寝る前に確認したいこと
私は「鼻くそを取って寝ましょう」で終わらせたくありません。
むしろ、次のようなところを一度確認してみてください。
① 朝、口が乾いていないか
朝起きたとき、
「口の中がカラカラ」
「喉が乾燥している」
という場合には、夜間の口呼吸も一つの可能性として考えます。
ただし、これだけで口呼吸と断定はできません。
② 夜になると鼻が詰まらないか
昼間は大丈夫なのに、
布団に入ると鼻が詰まる。
こういう人もいます。
夜間の鼻づまりには、アレルギー、鼻炎、体位など複数の要因が関係します。
「昼に鼻が通っているから大丈夫」とは限らないんです。
③ 朝、鼻の中がカピカピになっていないか
毎朝かなり乾燥しているなら、
寝室の乾燥や鼻粘膜の状態
も確認してみましょう。
④ いびきを指摘されないか
鼻閉は、いびきや睡眠呼吸障害と関連することがあります。
特に、
大きないびき・睡眠中の呼吸停止を指摘される・日中の強い眠気・朝の頭痛
などがある場合には、「鼻くそ対策」だけで済ませず、医療機関への相談を考えた方がいいと思います。

では、寝る前に何をしたらいい?
まずできることは、
鼻腔内を必要以上に乾燥させないこと。
乾いて固まった鼻くそを指で無理に剥がすと、鼻粘膜を傷つけ、出血や炎症につながることがあります。
そのため、
- 部屋が極端に乾燥していないか確認する
- エアコンの風が直接顔に当たらないようにする
- 必要に応じて生理食塩水の鼻スプレーなどで鼻腔を保湿する
- 鼻を強くほじらない
- 鼻炎や慢性的な鼻閉があるなら耳鼻咽喉科で相談する
などが基本になります。
生理食塩水による鼻洗浄については、鼻腔内の粘液や付着物を除去する方法として用いられています。
ただし、鼻洗浄をする場合には注意があります。
水道水をそのまま鼻に入れることは避けてください。
CDCは、鼻洗浄には蒸留水・滅菌水、または一度沸騰させて冷ました水を使用するよう推奨しています。
ここは安全面として覚えておいてください。
アレルギー性鼻炎を放置しないことも「睡眠対策」
花粉症や通年性アレルギー性鼻炎がある人は、
「鼻の病気だから睡眠とは別」
と思わない方がいいかもしれません。
アレルギー性鼻炎に対する治療によって、質問票で評価した睡眠の質が改善することを示した研究も報告されています。
もちろん、だから自分で薬を選びましょうという話ではありません。
私が言いたいのは、
鼻の治療が、睡眠への介入になることもある。
ということです。
これ、睡眠を考えるうえでは結構重要ですよね。

鼻くそを見るより、その人の「夜の呼吸」を見る
鼻くそが溜まる。
普通なら、
「掃除すればいいじゃん」
で終わります。
でも私は睡眠を考えているので、その先を見たくなるんです。
なぜ溜まる?
乾燥している?
鼻水が多い?
鼻が詰まっている?
夜は鼻で呼吸できている?
口が開いていない?
いびきをかいていない?
睡眠は浅くなっていない?
朝、疲れていない?
こうやって考えていくと、
鼻くそ一つからでも、その人の睡眠環境を見ることができる。
もちろん、鼻くそが多いだけで病気でもなければ、睡眠障害でもありません。
ここは絶対に飛躍してはいけないところです。
でも、
「いつもと違う身体の変化」を無視しない。
これは睡眠でも健康でも大切だと思っています。
鼻から始まる睡眠評価があってもいい
睡眠の評価というと、
睡眠時間。
入眠時間。
夜中に起きた回数。
深い睡眠。
REM睡眠。
そういう数字ばかりを見てしまいます。
でも人間は、睡眠中もずっと呼吸しています。
7時間眠るのであれば、
7時間、呼吸し続けている。
だったら、
「その7時間、空気が身体に入っていく入口はどうなっているのか?」
を考えることも、睡眠評価の一つではないでしょうか。
鼻くそが溜まりやすい。
朝になると鼻が乾燥する。
鼻が詰まる。
口が乾く。
いびきをかく。
そんな小さな身体の変化を、
「まあ、そんなもんか」
で終わらせない。
睡眠って、こういうところから考えても面白いんですよ。
(鼻くそからここまで睡眠を語る人も、そんなにいないと思いますが。笑)
でも私は、こういう小さなサインから「なぜ?」を考えることが、結構大切だと思っています。
\最新の臨床ノート/
こんな場合は耳鼻咽喉科などへの相談を
鼻くそや乾燥だけではなく、
- 鼻づまりが長期間続く
- 片側だけ強く詰まる
- 鼻血を繰り返す
- 黄色っぽい痂皮や痛みがある
- 悪臭を伴う
- 嗅覚が低下している
- 大きないびきや睡眠中の無呼吸を指摘される
- 日中の強い眠気がある
といった症状がある場合には、自己判断だけで済ませず、耳鼻咽喉科や睡眠を扱う医療機関への相談をおすすめします。

この記事を書いたのは
睡眠オタクな作業療法士 石垣貴康です。
睡眠を、ただ「眠るための方法」としてではなく、毎日の生活や心身の状態、そして人生を楽しむための土台として伝えたい。そんな想いで、この記事を書いています。
作業療法士としての臨床経験と、睡眠に関する研究や知識をもとに、難しい内容もできる限り生活に落とし込んでお届けします。
睡眠を知ることで、自分の身体や暮らしを少し大切にしたくなる。そんなきっかけになれば嬉しいです。
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睡眠の質を高めるために知っておきたい公的エビデンス
睡眠の質は「なんとなく良い・悪い」で判断するものではなく、科学的にも明確な指標や推奨が存在します。
例えば、厚生労働省では生活習慣や環境が睡眠に与える影響について詳しく解説されており、日中の活動量や光の使い方、就寝前の行動が睡眠の質を左右することが示されています( 厚生労働省 睡眠対策ページ)。
また、最新の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、適切な睡眠時間や生活リズムの整え方が具体的に示されており、特にスマートフォンの使用や夜間の光環境が睡眠に大きな影響を与えることが明記されています( 睡眠ガイド2023(厚生労働省))。
さらに、国立精神・神経医療研究センターのガイドラインでは、不眠や日中の眠気といった睡眠障害のメカニズムや対処法についても詳しく解説されており、医学的な視点からも睡眠の重要性が示されています( 睡眠障害ガイドライン(NCNP))。
国際的にも、WHO(世界保健機関)は睡眠を健康の重要な要素と位置づけ、身体活動や生活習慣と並ぶ「健康の柱」として推奨しています( WHO 睡眠に関するガイドライン)。
このように、睡眠は個人の感覚だけでなく、国内外の研究や公的機関によってその重要性が裏付けられています。
だからこそ「なんとなく」ではなく、根拠に基づいた習慣づくりが重要になります。
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